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袮緒と唯一さんの違い
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お土産を選びながらもボクの心はどこかに行っていた。
「ねぇ、宇野さん」
同意を求めるような袮緒の声。
ふっと向けた目に入ったのは、袮緒の胸元だった。距離にして、数cm……。
ボクははっとして、身体を固くなるのを感じた。
「あ……すいません」
そう言って、袮緒は一歩下がる。
ボクの心臓はドキドキと音を立てる。
でもそれは、恋のドキドキじゃなく……恐怖のドキドキ。
ボクはしばらく、声を失う。
「袮緒ぉ……」
飯田が嫌そうな声を発して、ボクを少し自分の方へ引き、袮緒からさらに離す。
「宇野さん、大きい人苦手って知ってるんだから、そういうことしないでよ」
飯田は、じろりと袮緒を睨む。
「ごめんって……」
袮緒は、ふぅと小さくため息をついて、そっち見てくるわ、と行ってしまった。
「大丈夫?」
ボクはコクッと頷く。
飯田は何かを思い出そうとするように、考え込むように上を向いた。
「飯田?」
「唯一さんも大きい……よね? 怖くないの?」
不思議そうにボクに聞いた。
唯一さんは不意打ちでこんなに近くに立つことはないから。
出来るだけボクの下から話しかけるように気を使ってくれるから。
唯一さんが好き、だから。
答えを探した。でも、ボクの気持ちは最終的に好きだから、となってしまう。
「あー、うん。慣れ……かな」
無難な回答。
そっか、と飯田は、納得したように、うんうんと頷いていた。
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