アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
飯田は鋭い
-
なぜか今年入った新人に囲まれて飲む忘年会。
始めは愛生も一緒に居たが、総務部長に呼ばれ、行ってしまった。
「唯一さんて女に興味ないですよね?」
飯田が急にそんなことを耳打ちしてきた。
俺は思わず、身体を離して、飯田を見る。
飯田は再び俺の耳に口を寄せる。
「だって、結婚してないのに指輪してたり、『宇野』さんへの気遣い半端ないし……てか、『宇野』さんに対する態度が……」
飯田はわざとに宇野の名前を強調して俺に耳打ちする。
俺の眉毛がぴくっと動く。俺は宇野の名前に反応してしまった。
飯田の顔をそっと見ると、これは当たりだな、と、したり顔で笑む。
その飯田の笑顔が微妙に……怖い。
「…………だったら? なに?」
俺は飯田から視線を外し、ため息交じりに言葉を発した。
「なんでも、ないですよ。ちょっと確認しただけです」
そう言って、にやにやしながら、カクテルに手を伸ばす。
なんでもないって……。確認って……。なんだよ……。
俺は意味が分からずに、コップ半分のビールをぐいっと飲み干す。
はっと気づいたように、飯田がまた俺の耳に口を寄せる。
「宇野さん、唯一さんのこと怖くないって言ってましたよ……てか……『好き』ですね」
俺は大きく身体を逸らせ、飯田を見る。
飯田はちらっと宇野を確認して、ぶるっと身震いをした。
俺も宇野を見ると、俺たちをじっと見ていた。俺の視線に気づき、慌てて視線を逸らす。
「めっちゃ睨まれた」
こっそりと俺に耳打ちし、ははっと笑いながら、飯田は失礼しまーす、と移動して行った。
宇野が俺を好き……?
ちらっと見た宇野は、袮緒と話をしているが、心ここに非ずといった感じで、うわの空。
確かに、ゲイだと聞いた。でも、あれは単なる断り文句で。
第一、俺が宇野の手首を掴んだだけで、あれだけ怯えていた。
そんな宇野が俺を好きだなんて……そんなこと、ありえない、だろ?
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
25 / 52