アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
【光謙】過ぎ去る時間の中で
-
放課後。騒がしい声がグラウンド中に響いていた
テニスコートでは、千歳と遠山が打ち合いをしていた
その光景をぼーっと眺めている
「光」
後ろから名前を呼ばれた
振り返らなくたって、声の主が誰かくらいわかる
「なんすか、謙也さん」
「別に。なんもあらへんよ」
「そうっすか」
素っ気なく返す返事
でもそれはいつものことで、謙也は全く気にすることなく、財前の隣に座った
沈黙が走る。特に話すことなんてない
だけど、この時間がすごく心地良い
「なぁ、光」
謙也が沈黙を破った
「なんすか」
「すき」
「いきなりどないしたんですか」
「別に。言いたくなっただけ」
「アホ」
いつも通りのポーカーフェースを守っているが、内心は嬉しくて仕方がなかった
そっと、優しい風が吹いてきた
なんて幸せな時間なんだろう
このまま誰にも邪魔されずに、謙也だけが隣にいてくれればいいのに
「財前、謙也! 出番やで!」
少し遠いところから、白石の声が聞こえたきた
財前は現実に戻された
幸せな時間はすぐに終わってしまう
そう感じられた
もっと一緒にいたい
ねぇ、謙也さん。謙也さんが俺の隣にいてくれる時間も、すぐに終わってしまいますか?
所詮、男同士の恋愛。きっと終わりが来る
それはいつかはわからない
でも近いような気がした
だってしあわせな時間はあっという間に…
「光。部活終わったら、ウチに寄って行かへんか?
今、すごく光と一緒におりたい気分なんや」
ダメ?
首を傾げている謙也が、ものすごく可愛くて
「ま、行ってやってもいいっすわ」
なんて冷めた言葉で返すけど、本当は、嬉しくて嬉しくて…
幸せでいっぱいだった
少しでも長く、謙也さんと一緒に…この幸せが続きますように
財前は心の中で、そうつぶやいた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 1