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止まったトークルーム。
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____1年後。
「じゃあね〜お疲れ〜!」
「おー、お疲れ!」
薬学部へ進学した木葉は忙しい毎日を送りつつも充実していた。
男女比がアンバランスな学部だが、高校の頃女子の友人もそこそこいた木葉としてはすんなりと人間関係を築けた。そのせいもあってか、女子からの告白も絶えなかった。おそらく高校生の時ならば嬉しくて仕方なかっただろう。だが当時はよく「木葉は面白いしイイ奴だけど、彼氏にするのはなんか違う」と言われていたのに、大した変わりようだな、と感じるだけだった。
あれから1年経ったというのに、赤葦のことを忘れられず、いくら告白されても断り続けてばかりいた。
LINEの画面を開くと、赤葦とのトークルームがまだ残っている。
もう一度話したい、会いたいと思うがメッセージを送る勇気は出なかった。
「ど〜したらいいんだ……」
そう呟いた時だった。
「なにが?」
背後から突然声がした。
驚いて振り向くと数少ない男友達だった。見知った顔にほっと胸を撫で下ろす。
「びっっくりした……いきなり来るのヤメテ……」
「ごめんごめん。なんかすっごい悩んでたし、どうしたのかなーって。」
いや、別に、と言いかけたところでやめた。こういう事情を知らない人間に相談してみることで新鮮なアドバイスがもらえるかもしれないと思った。
「……あのさ、例えば付き合ってた人からいきなりわけわかんない理由で振られて、それでも好きな場合って、どうしたらいい?」
友人は目をぱちくりさせ木葉を見た。
「それは……もうどうしようもないのでは……?」
ウッと声を漏らしそうになるほどの正論であった。正直、わかりきっていたことである。
「木葉は復縁したいの?切り替えたいの?」
「……わからない。好き、だけど、復縁とかそういうのは全然考えてない……」
遊びが事実ならば受け止めるしかないが、どうしても木葉は信じ難かった。もう一度確認し、その上でどうするかを決めたかった。
「ほほ〜ん。……じゃあ相手の理由の真相を知らないことにはなんとも、ってかんじか。とっとと連絡取っちゃえばいいじゃん。」
「でも1年くらい連絡してないし……それに向こうが俺を避けてる感じもあるから……」
高校を卒業してからもあのメンバーで集まる機会がしばしばあったが、赤葦は一度も顔を出していない。もっとも、バレー部主将となったため時間がなかったという可能性も否めなくはない。
「なるほど……共通の友達とか、知り合いは?いる?」
「いるけど……」
「じゃあそっちに頼んで探り入れてもらうとか。それか呼び出してもらうだけっていうのもいいんじゃない?騙し討ちみたいだけど。」
その手があったか、と思うほど目から鱗であった。
「……わかった、アドバイスありがとう!」
「は〜い。今度なんか奢って〜。」
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