アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
言えない。
-
その瞬間、パシャ、とシャッターを切る音がした。
「クッ…コイツほんとにやりやがったよ!」
「傑作だなぁオイ!」
「泣いて懇願する木葉クン!おっもしれー!」
あぁ、1番なりたくなかったパターンだ。分かっていたことだけれども。
もうどうしようもない。俺にはなにもできない。
そう思うと、自分の無力感と絶望感でなにも考えられなかった。
「ま、土下座写真をあげることはしねーよ。多分、な」
そう言って、3人は去っていった。
しかし、木葉はいつまで経ってもその場から立てなかった。
赤葦に迷惑がかかる。もう決定事項だ。
学校だけじゃない。家族や、近所の人にも知られる可能性もある。
明日、どんな顔をして赤葦に会えばいいのか。
そう思うと、涙が自然と溢れて止まらなかった。
「…ごめん…ごめん赤葦…」
こぼれた言葉は誰に聞こえるでもなく、車の音でかき消された。
家に帰って、ベッドに入っても悶々と考えていた。というよりも考えずにはいられなかった。
例のことについて聞いてきた人に1人ずつ否定していくか。
でも、既に何十人と知られている可能性が高い。そして情報は広がり続ける。
根源から阻止できないのはもう仕方のないことなのか…
恐怖が眠気に勝り朝方まで寝られず、あの写真をバラまかれると思うと涙が出てきた。
目が覚めると赤葦との約束の時間ギリギリ。
鏡を見ると目の下のクマと泣いた感満載の目。
しかし消す時間など無く、そのまま駅へダッシュし、なんとか電車には乗れた。
「おはよー赤葦!」
赤葦に、相談する勇気は出なかった。もちろん相談した方がいいのだが、嫌われたくない気持ちが大きく、今言うことはできなかった。
赤葦にも関わることなのに、なんて傲慢なんだろう。
でも、今日中には、絶対に言おう。
「おはようございます、木葉さん。…その目どうしたんですか。」
やはり勘付かれた。でも言い訳は考えている。
「昨日さぁ、ネットで面白い動画見つけてさ!笑いすぎて涙出てきて!しかも長かったから寝る時間も短くって!」
「アンタ、なにしてんすか。仮にも受験生でレギュラーなんですよ?体調崩さないでくださいね?」
特に疑われることなく、ことなきを得た。
しかし、適当に理由をつけて誤魔化せる赤葦ではなかった。笑い泣きで目が腫れるほど泣くなんてそうそうない。
目が合う前も、なんとなく泣きそうな顔に見えた。
もし、木葉個人のプライベートな問題であったら、あまりにも無神経な気がした。
今聞くのは気が引ける、だから部活が終わってから聞こう、と思った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
33 / 73