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俺と、貴方の日
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※赤このの日ということで書いたものになります。こちらは本編とは無関係となります。
捏造・年齢操作を含みますのでご注意を。
木葉秋紀は大学2年生になり、赤葦京治は大学1年生になって早1ヶ月。2人は密かにマンションの一室で同棲をしていた。
ゴールデンウィークも終わりかけの5月7日。
時計の針が午後12時半を指している中、木葉はテレビのバラエティ番組を流し見していた。赤葦は、というと。
丁度1時間ほど前に出かけると言って出て行ったきりだった。
赤葦が居ない寂しさを紛らわせるため故か、木葉はテレビを付けていた。しかし内容など頭に入ってくるはずもなく、赤葦のことしか考えられなかった。
もうお昼ご飯を食べる時間だというのに、どこをほっつき歩いているんだ。帰ってきたらちょっと怒ってやろう。
と先ほどまで思っていたが、あるパターンが浮かんできた。
もしかしたら、事故に遭ったのかもしれない。という最悪のパターン。
赤葦は遅くても30分までには帰ってくるし、遅くなるときは遅くなるとちゃんと連絡する人間だ。しかし今日はラインを送っても返信を寄越すどころか既読さえ付かない。
これは事故の線が濃くなってきたか…?と、持ち前の心配性を存分に助長していた。
だがよく考えよう。1時間だ。たった1時間で不安になるのはまだ早いのではないか?もう少し待ってみるか?…いや、たかが1時間、されど1時間だ。一応電話してみよう。
木葉はソファから勢いよく体を起こし、スマホを手に取る。電話帳を開き、電話をかける1秒前。
ガチャッ。と鍵を鍵穴に刺し、ドアを開ける音がした。
どう聞いても合鍵でドアを開けた赤葦だ。
ここで心配メーターは極限まで下がり、代わりに怒りメーターがジワジワと上がってきていた。それを伝えるかのように足音を大きくして玄関へ向かう。
「赤葦ぃ〜?ちょっと遅くな______」
「すみません、遅くなりました。」
赤葦の顔を見ると、額にはうっすらと汗をかいていた。それに若干肩で息もしている。きっと走って帰ってきたのであろうと察した木葉はそれに免じて許すことにした。
「まあ、いいけどさ…。んで、どうしたの。ライン送っても返事しないし、心配したんだからな?」
「これ…買ってました。」
赤葦は紙袋を木葉の目の前に提げて見せたが、木葉は中身の見当がつかずにいた。
ここで開けるのは少し危ないと思い、リビングに向かう。
テーブルの上に紙袋を置き、箱を丁寧に開封して中身を木葉に見せた。
「マグカップ。まあ、プレゼント、です。」
そのマグカップにはでかでかとポップ体でそれぞれ「5」と「7」の文字がプリントされていた。
「あれ…今日ってなんかの記念日だっけ?誕生日まだまだだよな?」
赤葦は大袈裟に溜め息を吐いて項垂れる。
「アンタねぇ…高3のとき、何番でしたっけ?」
「えー…たしか14番!」
「出席番号じゃねえよ。」
「んん?…あっ、バレーか!7番!!」
「本当、鈍感というか天然というか…」
そのあと自分だけに聞こえるよう、ま、そういうとこも可愛くて惚れたんですけどね。と呟いた。
「そっかバレーのか…赤葦すごいな、こんな面白いこと思いつくんだ!」
「喜んでくれて良かったです。」
俺の知らない間にこんなことを思いついてプレゼントまでしてくる赤葦が好きだ。
俺が唐突に思いついたことで素直に驚いたり喜んだりしてくれる木葉さんが好きだ。
木葉はくしゃりと、赤葦はふわっと笑ってお互いを見つめた。
「ご飯食べた後、これでコーヒーでも飲もっか!」
「そうしましょうか。」
「はい、赤葦はミルクと砂糖少なめだったよな?」
「ええ、ありがとうございます。」
木葉は「7」と書かれた方のマグカップを赤葦の前に差し出す。それを受け取り、赤葦はほのかに甘いコーヒーをゆっくり飲んだ。
やはり自分で作るより、木葉が作ったコーヒーの方が格段に美味しいと再認識した。
コーヒーに舌鼓を打っていると、横から小さな笑い声が聞こえた。
「なんで笑ったんスか?」
「んー、今まで色々あったなあと思って。」
「そこそこ紆余曲折はありましたね。」
「だな。それでも今こうして一緒にいるんだから、凄いよな。」
「所謂…運命ってヤツですかね。」
「見えない赤い糸で結ばれてる的な?じゃあもう一生離れないんじゃね?」
「どうでしょう。」
木葉は不意を狙ってキスをし、首に両腕を回した。唇を軽く押し付けるようなキスだったけど、自分のとは対照的なコーヒーの苦味が残っている風味が微かに伝わってきた。
ニヤッと笑って、赤葦に問う。
「な、しない?どお?」
「まだ昼間ですけど…」
「いーじゃん、オヤスミなんだし俺らの日なんだし?」
「…じゃあ、思いっきり優しくしますからね。」
お互いが出逢い、知り合い、惹かれ合い、想いを伝えてからも、障害は大小含めば数多の壁があった。
どちらかがその壁を前にして折れそうになったこともあったけど、2人で叩き壊してきた。
けれど、これから仲を引き裂くような高くて厚い壁が立ちはだかるかもしれない。それでこの仲も終わってしまうかもしれない。
それでも。
2人で手を繋いで進んでいけば、たとえ真っ暗闇に入ってしまったとしても離すことは決してないだろうと信じているから。離れてしまっても、またお互いの手を探して見つけ出すと信じているから。
だから、今まで通りこれからも、2人で、歩み続けよう。
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