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その後 ~朝霞編~ 41
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精神科医の資格を取得し、国家指定の臨床研修期間2年を終わらせた僕は、とうとう、精神科医として大病院の精神科で働くことになった。
「長くて、短かったなあ・・・」
ここに至るまで、色々なことがあった。
そして何より、
内科医をしていたことも、目標を失っていたことも今ではいい思い出だと思えていることが、一番の変化だ。
しっかり、夢に向かって前進していると、自分では思っている。
ただひとつ。
どうしても思い出にできない出会いを除けば・・・
「はあ・・・」
今でも、毎日思い出す。
たった一夜の出来事で、僕の人生に転機をもたらしてくれた彼のことを。
そして、今でも思う。
またいつか、遭うことができたら、と。
「・・・そんな、都合よく行くはず無い、か・・・」
昼休みに別れを告げるべく、僕は中庭から立ち去ろうとした。
しかし、僕はそこで一度踏みとどまり、ベンチへ腰をおろした。
・・・今日も、たくさんの人が僕たちの元を訪れる。
彼らを救うことは、僕にはできない。
なぜなら、救うことができるのは、彼ら自身だから。
そして僕は、今日も魔法の呪文を唱える。
「颯君・・・」
ああ、これで今日も、誰かを支え続けられるだろう。
今度こそ、僕は中庭を後にした。
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