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食欲
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「そーいえばさー、キミと侑介はまだ別々に学校行ってるの?」
「え? あ……はい」
赤面していた彼女に、椿が聞いた
彼女と侑介は同じ学校、同じクラス
なのに、登下校は別々に通っている
そりゃ、まあ、侑介の気持ちもわからなくはないんだけど
__青春してるね
椿とかな兄に遊ばれて、侑介は大慌てだ
でもやっぱり絵麻ちゃんのことを考えると……
「女の子が1人で朝の満員電車はつらくない?」
僕は、本心でそう思った
祈織や弥も心配しているみたい
琉生に関しては、侑介に素直は大事だと諭している
「大丈夫です! わたし、こう見えても結構頑丈なんですよ!」
そこまでは良かったんだ
でも……
続く椿の言葉を聞いて、僕はまた痛みを感じた
「無理しちゃだめだって。かわいい妹が満員電車で押しつぶされるなんてほんとありえないしー。そのへん男としてはどーなのかなー、侑介?」
確かに、椿の言う通りだ
言う通りなんだ、けど……
その瞬間、僕は席を立っていた
「いきなりどうしたの、梓」
「あ、ああ……ちょっと、食欲でなくて。京兄、これが昼食でいいから残しておいてくれるかな?」
「ええ……それは構いませんが。大丈夫ですか?」
「うん。じゃあ、ごちそうさま。お先に失礼するよ」
「え、梓?」
残したおかずを指して京兄に頼んだあと、僕はそのままリビングを出た
「梓!」
後ろから椿の声がしたけど、無視した
この気持ちを早く落ち着けたいのに、いま振り向いたりなんかしたら……ダメだと思ったから
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