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俺も
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『はあ?』って、椿が魂でも抜けたような顔で呟いた
そりゃ……そうだよね
弟にこんなこと言われたって、気持ち悪いだけだよね
僕は椿の返事を聞きたくなくて、演技をした
「……本気にした?」
「え……」
「そんなの、冗談に決まってるじゃない。椿でも気付かなかったってことは、僕の演技力も上がったかな?」
本気で言ったと認めてしまえば、これから椿と関わるときにあわせる顔が無い
プライベートだけならまだしも、仕事にも支障が出るようならダメだ
__だから
この気持ちは、心の奥底にしまっておくんだ……
「……そんな顔で言われても説得力ねぇっての」
「え?」
「そんな、堪えてるよーな辛そうな顔で冗談とか言っても、わかるから。俺、そういうとこに気付かないほど鈍くないよ」
「椿……」
「これでも梓が本気で言ったかどうかぐらい、わかってるつもり。さっきのは……本気、なんでしょ?」
「……」
誤魔化そうとしたのに、椿の前では無駄だったみたいだ
ほんと、敵わないなあ……
それに、失恋も決定しちゃったよ
結果はわかってるけど、椿の口からそれを聞くとなるとね
__どうせなら、すぐに吹っ切れるぐらい深く突き放してよ……!
そう、思ったときだった
目に映る影が動き、僕の視界を覆う
「んぅっ……」
椿の大きな腕が僕を包み込み、引き寄せられる
そのときにはもう、彼の唇に酔いしれる僕がいた
「……ふ……ぁ………………」
舌を使った激しいキスに、僕の体からは力が抜けていく
甘くて、ほろ苦くて、チョコみたいな口づけ
僕は呼吸することも忘れ、ただ椿の思うがままになっていた
そしてついに酸素が足りなくなり、残った力を振り絞って椿の胸を叩く
すると、椿は簡単に放してくれた
__正直、ちょっと名残惜しいかな
「俺、何とも思ってないヤツにこんなことするほどバカじゃねえから」
「……それって?」
「俺も……梓が好きだってコト」
真っ直ぐに、僕の目を見て
椿は、僕の気持ちに応えてくれた
僕はさっきの椿同様、呆然とするしかなかった
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