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理性対欲望
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先日医者に掛かったときは何でもなかったのだが。
近頃息子が不調だった為、健康診断をして貰ったのだ。その時は、どこにも異常は見つからなかった。
息子の元気がないのだと言うと、この世で一番いやらしいと思うものを想像しろと言われた。だから、想像したのだ。
全裸のユタカがあらゆる粘液にまみれて誘ってくる姿を。
すると驚いたことに、あっという間に息子は立派な勇者に成長したのだ。
それを見た医者からは、どうやらお疲れだっただけのようだ、若いからと言って無茶はしないように。そう言われておしまい。
枯れたわけではないことに舞い上がり、そのまま花街を訪れた。可愛らしい娘、美しいお姉様方…。今夜こそ楽しむぞと意気込んだのにもかかわらず、息子はピクリとも反応しなかった。
やだーおーじ、ふのー。と言われたショックは大きすぎて、言葉に出来ない。
花街から逃げ帰えったその日、部屋に入ると丁度風呂上がりのユタカがいた。
「あ、お帰りなさい」
「あぁ、ただいま…」
暖炉の前にいたユタカに近寄ると、甘い匂いがした。そしてその匂いに、息子が反応を示した。
さっきまで萎れていたのに何故…と不思議に思いながら、風呂に入ったら落ち着いたが。
その後も何度か花街に足を運んだが、
自慢の息子だったのに愚息と呼ばざるを得なくなってしまった。暫く花街には近寄れない。
しかし、今。ユタカから漂う匂いを嗅いだだけで、息子が戦う気満々になっている。
元気なのは嬉しいが…待つんだ、息子よ。眠っている相手に手を出すのは、男として恥ずべき行為だぞ。落ち着くんだ。
「…ん……ぅ」
落ち着くためにも、少しユタカから離れよう。そう思ったのだが、寝間着の胸元をキュッと掴んで擦り寄って来たユタカに、理性がビシリと音を立てた。たぶん、ヒビの入った音だ。
「ゆ、ユタカ…?」
誘っているのか?そうなんだろう?
いや待て、落ち着くんだ。そろそろアンバーが邪魔しに入ってくるはずだ。
さぁ、来い!いつも通り邪魔をするが良い!ほら、どうした!早く来ないと、ユタカの尻を揉んでしまうぞ!
腰に回していた手をスルスルと、尻に滑らせていく。
まだ来ないのか、アンバー!この際、ユタカの弟でも構わない…俺の手を止めてくれ。でないと……ああ、ユタカの尻…ほど良い弾力だ…。
服の上からゆっくりと撫で回し揉んでみると、更に欲が出てきた。
直に触りたい……。
いやいやでも、さすがにそれは。などと考えながらも、俺の手はユタカのズボンの中に入ろうとしてた。
「ーーーっ!」
だが、寸前で止める。
これ以上は、いかん。きっと、自分を止められなくなる。ただでさえ、最近はご無沙汰気味なのだ。欲望に任せてしまったら、きっと後悔するだろう。
深く息を吐き、そっとユタカを抱き寄せる。寝顔や匂いにムラムラするが、耐えるのだ、息子よ。今は、戦うときではない。
そうだ、何か息子が落ち着きそうなものを想像しよう。例えば……そうだな、騎士団第三部隊隊長のデルマンなんてどうだろう。
筋骨隆々の大男デルマン。鍛錬の時はいつも上半身裸のデルマン。太い眉毛に分厚い唇、おびただしい量の汗でテカテカと光る筋肉。もじゃもじゃと生い茂る胸毛は、下半身へと続いている。
ああ、最悪に気持ち悪いぞデルマン。だが、ありがとう。息子はすっかり大人しくなった。
十分過ぎるほどの精神的苦痛に、息子どころが俺自身まで元気を失ってしまったというのに、悪夢のような想像は止まらなかった。
あの世にも恐ろしい顔を赤らめ、脳内のデルマンが俺を呼ぶ。
「カ・ティ・ア・ス・くん(はーと)」
「がはっ」
死んだ。いや違った。
どうやら気を失ったようで、ユタカの必死な声で目を覚ますと、心配そうに俺を見つめていた。
「大丈夫、ですか…?」
「ユタカ………………すまない」
「え?」
ああ、良かった。これが現実だ。
昨夜は本当に恐ろしい目にあった。
眠っているユタカに不埒を働いた罰だろうか。ユタカ、すまなかった。
デルマンもすまなかった。だが、暫く顔は見たくない。
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