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夏Ⅱ[大河目線]
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ニュースを見て俺はすぐに家を飛び出して空港へ向かった。
ニュースでは、死者はいないと言っていた。
それなら、浩輝は生きているということだ。
怪我をしていたとしても、浩輝が生きていてくれればそれでいい。
向かっている間中、俺はずっとそんなことを考えていた。
「どうか...どうか無事でいてくれ.................................!」
俺が着いた時、中にいた乗員乗客が丁度運び出されているところだった。
といっても、当たり前だが、自分自身は現場には行くこともできず、たくさんの野次馬と被害者の家族の中でその光景を見ていることしか出来なかった。
自分の無力さを思い知らされる。
浩輝が大変な事故に巻き込まれているのにも関わらず、俺はあいつに何もしてやれない。
そんなことばかり考えてしまう自分も嫌になってくる。
「大丈夫ではなさそうだね。」
そう悶々と考えていた俺に、一人のアメリカ人の老人が話しかけてきた。
「あんた、あの飛行機の中に大切な人が乗っていたんだね。酷い顔をしておる。」
顔をあげると、老人は俺の顔をじっくりと見て言った。
「はい...。」
そう答えるのが精一杯だった。
「聞いた所によるとね、近くの大きい大学病院が怪我人全員を受け入れたそうよ。行ってみるといいわ。健闘を祈ります。-Bleeding you-」
「ありがとうございます!!」
礼を言って駆け出しそうになって俺はすぐに足を止めて振り返った。
「あの...!あなたのお名前を伺っても?」
「私は...メイ。メイよ。」
老人はニッコリと笑って答えた。
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