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特別番外編 『野球観戦に行ってみたら⑧』
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ご飯を食べて、飲み物を手にして僕たちは再び座席に戻った。
丁度シャークの選手達が練習へと出てきたので、僕は階段を下りて前まで出ることにした。
近くから選手を見るなんて、なかなか出来ないし!
おじさんは荷物番をしながら手を振って見送ってくれた。
僕は選手が一番見える場所へとシャーク女子の隙間から陣取ると、夢中で見つめた。
こんな近くで選手を見ることが出来るなんて夢のようだ!
本当にカッコいい!!
自軍のベンチ前でウォームアップ。
表情まで見えるんだから、堪らない!
エースの後田投手が先発。
忍者の様に守備が上手くバントも得意な菊海選手や今年古巣のシャークへ戻ってきた古井選手も笑顔で目の前を通り過ぎる。
そうこうしているうちに、選手達は守備の練習へと散っていった。
「キャアッ!!?」
夢心地で見つめていると、僕の隣に居たシャーク女子数名が悲鳴の様な声を上げるから思わず地面から飛び上がってしまう。
どうしたのかと思いソチラを見ると、女子が目を輝かせて口元に手を当てて騒いでいる。
「おう、どれだ。結斗の好きな選手は」
おじさんが僕の肩を後ろから抱きながら耳元に囁いてきた。
なるほど。
…選手よりも海里おじさんの方が黄色い歓声を浴びるって…変な感じ。
「…ビックリさせないでよ」
「ん?そうか。悪かった」
おじさんは僕の驚いた顔を見て、満足そうに口元に笑みを浮かべた。
「皆、好きなんだよ。僕」
「……俺以外を好きとか言うのは複雑なもんだな」
眉間に皺を寄せてそう呟くおじさん。
選手相手に何を言ってるんだろ?
おじさんと選手は別に決まってるのにな。
そのセリフに顔を赤くしてしまう。
「…っ!」
思わず見つめ合ってしまった僕は気がついた。
周りの視線が痛い!
「もう行こうよ!」
おじさんの腕を引っ張って階段を上って行く。
「ところで荷物は?置いてきたの?」
「貴重品は持ってるけど、他の荷物なら大丈夫」
僕が訊くと、おじさんはニッコリ笑う。
その答えは席に着いて分かったんだ。
僕達の横と後ろは女の人のグループで、おじさんが戻ってくると顔を赤らめてヒソヒソ言い合っていた。
うん。これなら泥棒働く輩が居たら問答無用で成敗してくれそうだな…。
複雑な恋心。
ちょっと分かった気がしました。
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