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旧友
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*
目を覚ますと、佑哉と海人が眠っていた
俺の体には包帯
きっと、昨日世話をしてくれたんだろう
それと、玄関の方には花澤
前に俺を犯したくせに、なんで佑哉の部屋にいるんだ??
わからない
とにかく、今日は朝から撮影だ
服を着ると佑哉たちのために炒飯を作って三つの皿に盛り付けるとそれぞれのそばにおいた
佑哉の温かい食べ物には敵わないけれど、腕ならまだ俺の方が上だろう
後は、ちょっとでも温かいものが作れるようになっていると良いのだが…
撮影があらかた終わると、事務所の社長室に向かい、社長に抱かれると共に、金を受け取った
俺がやつらに抱かれた報酬
毎日、10万
気配を消して寮の自室へ戻って、クローゼットから、古びたコートとハットを取りだし、つけ髭を着けて部屋を出る
電車を乗り継ぎ、とある駅の人知れぬ場所にそれはあった
カーネ・スコンフィット
あまり飾り気のないビルの中にある、忌々しい店の名前
イタリア語で負け犬を意味する言葉と知ったのは、今の社長に買われてからだ
それまで、知る余裕もなかった
負け犬
俺と、まだこの店に残された俺の友達は、負け犬…
はらわたが煮えくり返りそうになりながら、俺は扉を開いた
財布から5万を取りだし、店主に見せる
「お、あんたか。…今日は誰を指名する?」
「…リュウ」
「ほんとお気に入りだな。…わかった。リュウを呼んでおこう」
鍵を渡され、その部屋に向かう
そこにリュウはいた
荒浪リュウ
店主につけられたその名前
俺の顔を見つけると、楽しそうに近寄ってきた
目は温かい
俺の時だけかはわからないけど
佑哉にちょっとだけ似てる気がする
監視カメラに背を向けてコートを脱いだ
どの場所に監視カメラがついてるかくらい覚えてるから
ギリギリ見えない場所へ立つ
つけ髭を外して、にっと笑って見せる
「相変わらず似合わねえな、お客さんのその髭」
「…剃ろうかとは思っているのだが」
初老の男の声はやはり難しいな…
見るとリュウがにやにや笑っている
舌を出して見せると本当に楽しそうにこっちを見た
「んじゃ、お客さん、今日の要望は?」
「元から分かっておろう。今さら聞くな」
「はいはい。幼馴染みの、添い寝希望な」
そこまで親しくしては、おかしいだろう
俺は、変人の客だ
お前とは仲間じゃない
「…わかったって。悪いね」
顔をしかめ、カメラに一瞬視線を寄越すと、リュウは目を伏せた
この物分かりの良さがリュウの良いところであり、利用されるところでもある
俺がいなくなってから一年か…
リュウはもう、どれだけ抱かれたのだろう
「リュウ。…おやすみ」
「あぁ…おやすみ」
二人して眠る
そうすることで、リュウには少しだけ眠る時間を作ってやれる
毎週、たった一時間だけだけど
俺がいた頃は昼夜問わず抱かれ続けた
俺が一番稼げた、というのもあるのかもしれないが、俺が抜けた今、穴を埋めているのはリュウだろう
もう二人で遊ぶことはできないけれど、いつか、リュウを買い取る
そうすれば、リュウは自由になる
それまでは少しでも寝る間を与えてやりたい
朝の光が、サービスの終了を示す
俺はつけ髭を着けて、コートを身に付けて部屋を出た
ベッドにはリュウが眠っている
疲れてるのが目に見えてわかる
俺は布団をかけてやり、外へ出た
また、今日も朝から撮影だ
終わったら八十島たちに抱かれて
…その後佑哉に会いに行こう
少しだけ寂しくなった
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