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「……なあ」
「ん?」
「おまえ」
暁丸は、どこか拗ねたような、だが同時に、ひどく感心したような顔で三日月を見つめた。
「本当に、村の連中に好かれてるんだな」
「そうだね、うん。とてもありがたいことだと思っているよ」
三日月は、うれしそうに微笑みながら大きくうなずいた。
「……俺のなのに」
「え?」
「俺の、番いなのに」
暁丸は拗ねたような――いや、完全に拗ねきったふくれっ面で、村人達と共に様々な御馳走を相伴する、直会の席がはけた後の、二人――というか一頭と一柱だけの社の中、三日月の、ほっそりと華奢な人間の姿をした白い上半身を抱きすくめた。
「あんまり、村のやつらのもんにばっかなるんじゃねえ!」
「ああ、ごめんよ暁丸。放っておかれたみたいで寂しかったんだね」
三日月は、暁丸の耳元で優しくそうささやいた。
「そう思うんなら、もう俺のこと放っておくんじゃねえ!」
暁丸はふくれっ面で、三日月の耳に噛みつくようにしてそうこたえた。
「うん。それはもちろんだ」
三日月は、暁丸の頭をそっと撫でながら穏やかにそうこたえた。
「……なあ」
「ん?」
「ここ、今、どんな感じだ?」
と、そういうや否や、暁丸は三日月がとめる間もなく、三日月が羽織っている打掛をまくり上げ、その、白い大蛇の下半身で息づく深い襞をむき出しにしてまじまじと見つめた。
「あー……まだ、ちょっと腫れてるな……」
「その……なんというかその、は、初めて、だったから……こ、これからだんだん、慣れてくるだろうから、その、あんまり腫れたりとかはしなくなってくる、と思うのだけど、でも、その……なにしろ初めてだったから、まだ、その……体が、慣れていなくて……」
三日月は、顔を赤らめながらボソボソとそうこたえた。
「……痛えか?」
「大丈夫、痛くはないよ。君は本当に優しいね、暁丸」
「でも……さすがに、まだ突っ込んじゃ駄目だよな?」
暁丸は口をとがらせ、上目づかいで三日月にそう問いかけた。
「そうだね、うん――腫れが引くまでは、控えたほうが無難かもしれないね」
三日月は、申し訳なさそうに苦笑しながらそうこたえた。
「早く、おまえに、俺の子孕ませたいのに」
暁丸は、三日月のなめらかな胸にその若々しい顔をこすりつけるようにしながらつぶやいた。
「そう、だね……ええと……」
三日月は突然、パァッと満面に朱を上らせた。
「ええと、その……ちょっと聞いてもいいかな、暁丸?」
「ん? なんだ?」
「なんというか、その……く、く、く、口では、だめ、かな?」
「……へ?」
暁丸は、きょとんと目を見張り、首をかしげた。
「口? え、なんの話だそれ?」
「だ、だから、その、ええと……」
三日月は、しどろもどろになりながらも懸命に言葉を紡いだ。
「わ……私の、口で、君の、その、せ、精を、受けて、そして、飲み下せば、その……そ、それで、その、わ、私の体がその、君の――君の雌に、変化する、助けになったりはしないのかな?」
「……なるほど」
暁丸の満面に、パッと喜色が浮かんだ。
「そっか! そうすりゃ、別にそこが腫れててもかんけーねえもんな! おまえ、あったまいいな、三日月!」
「それは、その――どうもありがとう、暁丸」
三日月はクスンと笑った。
「……でも、その口じゃ、俺のは入んねえな」
暁丸は、三日月の朱鷺色の唇を見つめながら残念そうにつぶやいた。
「蛇の口だと、君に怪我をさせてしまいそうだしねえ」
三日月は真顔でそうこたえた。
「あー……確かに……」
白い大蛇の本性をむき出しにした三日月の、その大蛇の口に自らの尤物が咥えこまれたところを想像したのであろう。暁丸はちょっと顔をしかめながらうなずいた。
「まあ、その、この口でも、なめるくらいは出来るし」
三日月は、暁丸をなだめるように、慰めるように微笑みながらそう言った。
「それに、ほら、別に口だけじゃなくて、指も、手も、この体も、全部使うし。私だって、その――つ、番いの君に、き、気持ちよくなって欲しいし」
「おまえは?」
「え?」
「おまえ、そこがまだ腫れてるから、そこじゃ気持ちよくなれねえだろ?」
暁丸は、眉根を寄せ、眉間にしわを寄せてそうたずねた。
「ああ……確かにまあ、今のところはここはまだ使わないほうがよさそうだけど、でも、私は君と触れあっているだけで十分気持ちがいいよ、暁丸」
「え? 触りっこしてるだけでいいのか?」
「ああ。私はそれで、十分気持ちがいい」
「……でも、俺は、触りっこだけじゃ全然足りねーんだけど」
「ああ、それはもちろんわかっているよ、暁丸」
少しむくれてそう言いながら、自分を軽くにらみつける暁丸に、三日月は小さく苦笑を返した。
「君は、本当に可愛いねえ、暁丸」
「おまえのほうが可愛いぞ」
「それは……どうもありがとう」
思いもよらぬ暁丸の返しに、目を白黒させながら(とはいえ、その本性が白蛇である三日月の両眼は、鮮やかな緋色に染まっているのだが)、それでもなんとか三日月は微笑みを返した。
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