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テツヤ目線
先輩に会ってから、霧崎第一に戻った
「ただいまです!皆さん!」
皆「おかえりーテツヤー」
練習の合間の休憩だったのか、僕の元へ駆け寄ってくる足取りが
とても重いものだった
足音が走ってくるのではなく
フラフラという感じの足音
「皆さん?大丈夫ですか?」
色素しか見えない目では
皆さんの表情が見えない
最近では趣味だった人間観察が出来ないので
音で聞き分けているけれど
今日は特に彼らの足取りはひどいものだった
「大丈夫やで、テツヤ」
翔さんの声がやけにしんどそうに聞こえて
胸が苦しくなる
「終了です、今日の部活は終わって下さい!」
どうしても無理はしてほしくない
『え?』
「そして、水原邸に来てください
いいですか?兄さん」
僕の隣にいた兄さんは勿論と答えた
「凛也、車頼めるか?」
「かしこまりました」
「僕は皆さんが笑顔でいて欲しいです
無理はして欲しくないです」
ニコッと笑う
うまく笑えたでしょうか
僕が唯一今動かせる筋肉
それは顔の表情だけ
腕も、片足も、勿論身体も
今は一時的麻痺でまったく
動くことはない
リハビリは徐々に慣れていかないと
完全に動かなくなるとも先生から言われていた
けど、手を上げようと必死に力を入れる
「テツヤ!」
ふわっと僕の手をつつむ大きな手
「優くん?」
「少し動いたな、でも無理をするな
心配だから」
「……すみません」
少し苦笑いして謝った
「皆さん、着替えて下さい、帰りますよ!」
皆「はーい!」
ここのバスケ部には後輩がいるが
先に帰らせて、凛也さんの運転する車にのって
家に帰った
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