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プロローグ ー まだ何も知らないバーミ・エアー ー
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田舎の空はどこまでも広く、青い。
縁側で空を見上げる青年の口からは心地よい歌声が紡がれる。
その声は澄わたる空に吸い込まれていくようだった。
「侑紀くん、今日も上手だねぇ。」
通りかかった近所の老婆に声をかけられて侑紀は笑顔で礼を言う。
「ありがとう。山中さん。」
その顔は端正に整い、19歳という年齢よりも若く見える。
つり目がちの目に、すっきりと通った鼻梁、弧を描く唇は艶めいている。
山中の老婆はにこにこと微笑んで農作業道具を背負い畑に向かっていく。
その姿を視線のすみで見送りながらまた、侑紀は歌を紡ぐ。
いつもと、おなじ日常。
これからも変わらずに続いていくものだと思っていた。
この日常を壊す出来事がもうそこまで来ているとは気づかず侑紀は青い空の下で歌っていた。
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