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悪魔の囁き
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暗い表情を浮かべた侑紀を泰蔵と仁美は心配そうに見つめる。
「俺には無理だよ。無理なんだ。」
ただそれだけを侑紀は繰り返す。
侑紀の体はガタガタと震えていた。
「侑紀さん、大丈夫ですか。」
様子のおかしい侑紀を千尋が気遣う。
その千尋を侑菜が視線ひとつで止める。
侑紀の隣に座りそっと背中を撫でて落ち着かせる。
その姿は聖母のようでその声は温もりに満ちている。
「大丈夫よ。侑紀。落ち着いて。」
先程よりも落ち着いた侑紀の耳元に侑菜が口を寄せてなにかをささやく。
その様子を千尋、泰蔵、仁美が不思議そうに見ていた。
「ねぇ、侑紀。“あのとき”私が貴方の代わりに犠牲になったのよ?覚えてないの?今度は貴方が私を助けてよ。」
その声は先程とはまるで別人のように冷たく悪魔のようだった。
耳元で囁かれたその言葉に侑紀は息をのみ目を見開く。
その時、侑紀の脳裏には13年前の出来事が浮かんでいた。
侑紀の侑菜に対する負い目。
それがフラッシュバックしていた。
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