アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
最悪な side.侑菜
-
「侑菜、郵便が来てたわよ。」
おばあちゃんが私には“あるもの”を渡してくれる。
「ありがとう。」
おばあちゃんにとっては只の郵便物。
私にとっては、いや、私と侑紀にとっては生命線だ。
外見は普通の封筒だ。
私は封筒を破り、中からもうひとつの郵便物を取り出す。
ダミーの封筒の中に入っているのは本物の封筒。
それには『香坂探偵事務所』と印刷されている。
『香坂探偵事務所』は事務所の先輩の実家が経営している信頼が置ける探偵事務所だ。
何もないことを祈りつつ、本物の封筒を丁寧に開けて調査報告書を取り出す。
そこに記されていた事実に、驚愕し落胆した。
「これは………。想定外よ。」
あの母は、どこまで堕ちれば気がすむんだ。
あまりの低俗さに吐き気がする。
あまりにも最悪な結果だ…。
「侑紀と、yu-ki*、それに柊さんが危ない。」
侑紀には幸せになってほしい。
そのために、柊さんにも確固たる地位を持っていて欲しいのだ。
私の計画が、狂うけど。
仕方がない。
最良の結果を導くには。
私は震える手で携帯を手に取り、高槻さんへと電話をかけた。
ーごめんね、侑紀。でも、あなたのためなの。
空いた片方の手に『榊原侑花についての調査報告書』がぐちゃぐちゃに握り締められていた。
その黒い双眸は机の上に乱雑に置かれた母、侑花とN芸能事務所の若き社長がホテルへと向かう姿が収められた写真を睨みつけていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
106 / 129