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不穏の足音 side.千尋
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事務所で社長の手伝いをしている時、突然侑菜さんから電話がかかってきた。
「もしもし、高槻です。」
『侑菜です。』
「久しぶりですね。元気にしていますか?」
侑菜さんと話すのは久しぶりで、つい親のようなことを言ってしまう。
『元気ですよ。あの、今日は少しお話があって。』
「何かあったのですか?…私の時間なら大丈夫ですよ。話してください。」
社長に目線で問うと、手伝いはいいからそちらを優先しろと返ってきた。
『いきなりで申し訳ないのですが、3日後にそちらに戻ろうと思います。なので、迎えに来てもらえると嬉しいのですが…。勿論、侑紀もこちらに戻させます。』
「一体どうしたのです⁉︎いきなりそんな‼︎」
社長が何事かと目で雄弁に語られるのでその場にあったメモにことの次第を書いて見せる。
『母が、動き出したんです。柊さんの所属事務所の社長と関係を持っているみたいで。香坂探偵事務所に依頼していた件が今日届いて…。N芸能事務所の社長と組んでyu-ki*と柊のスキャンダルをでっち上げるつもりだそうです。』
「そんなことを…。」
その旨を社長にも簡単にまとめたメモで伝える。
『このままでは、計画が台無しです。侑紀に本当の幸せを手に入れさせるために今回の計画を立てたんですから。だから、私がyu-ki*に戻ります。侑紀ではあの母に対応できません。yu-ki*も柊も、そして侑紀も無傷で終わらせるにはこうするしかない、と私は思います。』
侑菜さんの声は切なそうだった。
一言二言交わした後、社長と代わりそのまま通話を終わらせてしまった。
その後から社長は難しい顔をして黙り込んでしまった。
なんとなく、不穏の足音が。
聞こえたような気がした。
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