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よくないこと side.陣
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『碧の涙』の撮影が終わり、帰宅してから夕飯にするとおれが明日に支障をきたしてしまうため颯眞さんと現場近くの小料理屋さんに来ている。
この小料理屋さん『鈴鹿』にはもう常連のようになっている。
感じのいい俺と同じ年くらいの鈴鹿都くんが店主を務め、偏食の激しい俺でも食べられるようなメニューを提供してくれる。
「来宮さん、高良さん。お越しいただきありがとうございます。本日もいつも通りの個室にご案内させていただきます。」
「ありがとうございます、鈴鹿さん。」
「いえいえ、こちらこそいつもご贔屓にしていただいてありがとうございます。」
都くんに連れられてここに来る時に使わせてもらってる個室に案内してもらう。
都くんの裏表のない優しげな笑顔はいつ来ても癒される。
その時視界の端に見知った人物が写り込んだ。
その人物は俺が所属する事務所の社長である成本圭人とーー。
「ねえ、颯眞さん。あれ…。」
颯眞さんのスーツの裾をくいっと引いて小さくそちらを指す。
怪訝な顔をした颯眞さんは社長ともう一人の人物を見とめるとほんの少しだけ目を見開いた。
颯眞さんが驚くのも無理はない。
視線の先にいたのは社長と彼にまとわりつく女。
その女が問題だった。
彼女はまるで今共演しているyu-ki*だ。
いや、yu-ki*が歳を重ねたという印象だ。
彼女はシナを作り、こちらがぞっとするほどに猫撫で声で社長に何かを頼み込んでいるようだった。
その目はどこまでも貪欲で強かで薄ら寒さすら感じさせた。
社長は彼女に困りつつも目には欲がにじんでいた。
彼女の正体は今は考えないでおく。
それでも、何かよくないことが起ころうとしていることだけはわかった。
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