アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
軽蔑 side.颯眞
-
可愛く陣が俺のスーツの裾を引くから何かと思って振り返ると陣が小さくどこかを指差していた。
その方向を見ると社長と1人の女。
その女はまるでyu-ki*だった。
そのことはどうでもいいのだが、問題は社長だ。
先代は聡明で時流を読む力があった。
しかし、今の社長はだめだ。
先代の動かしている事務所なら陣を任せられると思い俺は陣をこの事務所に入れた。
でも、もうそろそろ年貢の納め時かもしれない。
あの社長が動かす事務所なら、他のところに陣を移籍させなければ陣の俳優活動も事務所とともに終わりを迎えてしまいそうだ。
少し前から考えていた移籍の話をそろそろ本腰を入れなければと思い眉間に力が寄った。
「ああ、そうでした。いつもお使いいただいているお部屋は今お使いいただけないんでした。別の個室でもよろしいですか?」
鈴鹿さんがやけに明るい声でそう聞いてきた。
にっこりと微笑むその顔は有無を言わせぬ顔だった。
おそらくこちらの様子に気づいて社長とあの女の個室の隣の部屋にでも案内してくれようとしているのだろう。
陣は懐いているが案外鈴鹿さんは食えない人だとつくづく思う。
「あ、全然大丈夫です!」
「大丈夫です。案内お願いします。」
「それはよかった。ではご案内しますね。」
陣も鈴鹿さんの企みに気づいたらしく、『むしろいつもの部屋よりそっちの部屋の方がいいです…!』とでも心の中で思っていそうな顔だった。
こいつは俺の前だと素が出過ぎる。
そんな陣がかわいいと思いつつ、鈴鹿さんについていくとやはり社長とあの女の入っていった個室の隣の部屋に通された。
「では、ごゆっくりお過ごしください。」
「ありがとうございます。」
鈴鹿さんが一礼して出て行った後、陣と二人して隣の部屋の会話に聞き耳をたてる。
そして、俺は聞こえてきた内容に陣の移籍をすぐにでも決めたのと同時に社長に対して軽蔑の念を抱いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
125 / 129