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このままじゃ side.陣
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個室に入った後、都さんに『いつもの』をお願いして、俺たちは黙り込み隣の部屋の会話に聞き耳をたてた。
聞こえてきた内容はそれはひどいものだった。
社長にまとわりついてた女はyu-ki*の母親で侑花というらしい。
彼女は娘の売名のために柊とのスキャンダルをでっち上げさせようと社長に頼みこんでいた。
スキャンダルの相手は柊が第一候補らしいが、第二候補として自分も上がっていたことに驚いた。
そのことに俺はただただ驚きと呆れしか考えつかなかったが、このときの颯眞さんの顔がとても怖くて『ああ、愛されてるなぁ。』なんてのんきに思ってしまった。
ここでその話を社長が断っていたらまだ救いはあった。
でも、あろうことか社長は彼女の話に乗り、ましては行動をすでに取っているというのだ。
『もう手は打ちました、侑花さん。』
社長の聞いたことのないような心酔しきった甘い声に眉間にシワが寄る。
その後に聞こえてきた彼女の演技じみた甘く欲の滲んだ声に吐き気すら覚えた。
『まあ、嬉しいわぁ。圭人さん、だぁいすき。』
彼女はyu-ki*の母親のはずである。
それなのに聞こえてきたキスをしているかのような音とそれより先の行為の音に俺は耳を塞ぎたくなった。
飲食店なのに、媚びるように派手にあえぐ彼女の声に、吐き気を覚えたときそっと颯眞さんに耳を塞がれた。
颯眞さんは口だけで『出るぞ。』と伝えてきた。
素直についていき個室からでると都さんが待っていて、いつもの部屋に案内してくれた。
部屋に入ると申し訳なさそうに都さんが声を出した。
「すみませんね、私たちもあの方たちがここまでだとは思っていませんでした。お客さんを見る目がなかったようです。」
「いえ、鈴鹿さんには気を回していただいてしまって。ありがとうございます。」
颯眞さんと鈴鹿さんが話している間、俺はずっと考えていた。
このままじゃ、全てがダメになってしまうと。
柊の今までの努力も、yu-ki*の才能も。
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