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入学して、早いもので3日経ちました。
まだ慣れない寮生活に自然と早寝早起きしている俺はベッドから抜け出した。時計の針はまだ5時15分を指していたけれど、カーテンの隙間から明るい光の筋が差し込んでくるのを見てしまっては眠れそうにもない。
Tシャツにジャージという寝やすい格好のまま、部屋の扉を開いた。寮は二人で一部屋当てられるのだけどその部屋は相当広い。建物自体がマンション顔負けの大きさだったからまさかと思ったら部屋もすごかった。
部屋に入るとまず廊下が目につく、少し歩いて右手にトイレ左手に風呂場と洗面台。そしてその奥へ進むとリビング、そしてカウンターキッチン。そしてリビングからそれぞれの個人部屋へと行けるのだ。2LDKってやつだよねこれ。しかもベランダつき。
欠伸をかみ殺しつつ廊下へ出て洗面台へ。まだここに住み始めたばかりという事もあって洗面台備え付けの棚には俺と同室者それぞれの歯ブラシとコップ、あと石鹸と洗顔料と同室者のワックス…だっけ、それだけしかない、汚れもない。
ここにきて毎朝の行動パターンはまず顔を洗うことから、その次にリビングへ行ってテレビをつける。ニュースを聞きながら朝ご飯を作り同室者が起きるなら一緒にご飯を食べる。起きなかったら一人で先に食べる。食べ終わったら歯を磨いて制服に着替えニュースを見、時間になったら学校へ行くといった感じだ。
まだ三日目、されど三日目。慣れてきた行動は徐々にスムーズに行えるようになってきた。
濡れた顔をタオルで拭いて目を覚ましたら、リビングへ向かう。リモコンでテレビをつけたら即座にキッチンへ…
「ふぁ…ぁ…小虎ちゃんおはよー…。」
「…おはよう。」
行こうとしたら、俺の個人部屋の向かいに位置するもう一つの個人部屋の主…同室者の渋谷真樹(しぶやまき)がゆっくりと扉を開いて大きな欠伸を隠しもせずに一つしては俺を見ては開き切らない瞳をさらに細くさせて笑った。俺と同じく適当なTシャツを着ているけれど、下は早いことに半ズボンだ。まだ夏じゃないのにな。
珍しく早めに起きたことに驚いた、顔には出てないけれど驚いた。あと渋谷の寝癖にも驚いた。たぶん髪を乾かさずに寝たのだろう…自慢の金髪が絡み合っていつもの倍以上のボリュームになっている。
渋谷は自他ともに認めるチャラ男、というものらしい。ただあまり遊ばずに雰囲気とノリだけらしい。肩まである金髪は染めている割にはさらさらで傷んでいない。学校にいる時は女の子が使っているようなヘアピンで前髪を抑えているけれど、起きて数分の彼にはまだそれがついておらず目にかかってうっとおしそうにしている。
俺も髪は伸びたらそのまま放っておいているから長いと言えば長い、と言っても耳の中ほどまでだ。侑叔父さんとの生活では長くなったと侑叔父さんに言われたら切りにつれて行かれたものだ。
「うあー…まだ5時ぃ…。」
「まだ寝てれば?」
「ざーんねん、今日は風紀で早めに来いって言われてーんの…。」
眠気に負けているようで持て囃される見た目を気にすることもなく、顔も洗わずにソファにごろりと横になった渋谷はクッションを抱きしめまた眠る体制。早く行くから起きるのは偉いと思うけれど、多分このテンションだと無理だと思う。
同室者のテンションはさておいて、冷蔵庫を開いて卵とベーコンを手にする。あとはパンとリンゴとヨーグルトくらいでいいだろう。料理は普通に出来る程度の俺だけどいかんせんここはお坊ちゃま学校。料理どころか包丁が怖いという生徒もいる世界だ、渋谷も例にもれず包丁を握れば赤い液体がまな板を染めるという話を聞いて以来キッチン使用禁止を約束してもらった。
そんなわけで、簡単な料理を振る舞うことになった。でも渋谷は心底尊敬してくれているようだけど。冗談で「小虎ちゃんお嫁においで」と言われたので「じゃもう料理しない」と言ったら泣かせたのは昨日の話し。
フライパンにベーコンを並べカリッと焼けたなら卵を割って焼いていく、渋谷は半熟派だけれど俺は両面しっかり焼いて完熟派だ。ちなみに朝はトーストが良いと言い出したのは渋谷。俺は和食がいいと思ったけれどそれは晩飯にという事で解決した。
夢の中へ行っているのか定かじゃない渋谷をカウンター越しに見れば、足が右へ左へと揺れていた。
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