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1の風紀委員※渋谷視点
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「一年のくせに朝から葬式に出てるみたいな顔しやがって。」
「いっ…てぇー!!」
がすっと俺の頭に飛んできた拳は結構力こめられていた、頭がい骨割れたんじゃね?マジ痛すぎてうずくまった。しかもチョー良い音したよね、ガスっだって。ここが風紀室じゃなかったらまた嫌な噂が流れるところだった…。
俺、渋谷真樹は(女の子みたいな名前とか言わないように)ついつい金髪が許されるという条件に釣られちゃって泣く子も黙る生徒会の天敵こと風紀委員になってしまった。
耳に届く風紀の噂って言ったら、メンバーの半数以上が不良だとか暴力ですべてを解決しているとか死者がもう100人出しているとか…とにかくもう真っ黒。ここはお金持ちのボンボンが集まる白い校舎が自慢な麗城学園だっていうのにさ。
まぁ、あながち間違いじゃないから何とも言えない…。
現に俺を殴ったのは副委員長なんだぜ、この委員会で二番目に偉いの。始業式の後で「風紀やらない?」ってスカウトされて連れてこられた風紀室で出会ってから、今日まで…会うたびに三発以上殴られてんの。
「…竹田先輩、俺が馬鹿になったらどーすんすか?」
うずくまったまま見上げる先、俺を殴った竹田先輩は二年生なのに身長が190cmになったそうな。
俺よりも派手な濃い青の髪は前髪の所に白いメッシュが二つ入っているウルフカットが良く似合う、一重なんか鋭すぎる瞳に睨まれるとマジ怖い。ワイシャツの第三ボタンまで外して緩すぎるネクタイがエロ。なんつーかエロ。
でも男に興味ないんだってさー、この学園でレアなガチノーマル。っていっても女にも興味ないんだって、性欲ないかわりに手が出るのかね…うぇぇぇ勘弁。
へっと鼻で笑う姿も格好いいけどさ、俺を馬鹿にしているもんだから格好良くないよ!なんだって殴るかなー、後輩虐めとかマジ格好悪すぎんだけど。
「てめぇが馬鹿になっても俺の人生は変わらねーよ。」
「うっわ鬼!さいってー!」
勢いよく立ち上がる、けど同じ目線にならないのは不利すぎる。必死に睨みつけるけれどカエルに睨まれている程度にしか感じないのかにやりを不敵に笑って「やるか?」と喧嘩吹っかけてくる。
風紀委員の悪い噂、それはだいたいこの人のせい。喧嘩好きすぎるこの人がことある事に生徒たちを殴ったりしているから。不良の集まりになっているDクラスからも恐れられるくらいには強いらしいし。
俺も喧嘩できないわけじゃない、チャラ男って言われるけどどっちかって言うと喧嘩とかの方が好き。好きでもない男を抱いて性欲処理するほど俺は適当な奴じゃない…そういう所だけ似てる、俺と竹田先輩は。
とはいえ勝てるわけもない喧嘩に手を出すのは趣味じゃないし、怪我したら小虎ちゃんに呆れられそうだからやりたくない。……それで小虎ちゃんが甘やかしてくれるなら話は別だけど。それを確認してから竹田先輩と喧嘩する!
ぐぬぬ、と唸りながら笑う竹田先輩を睨み続けていると、扉が開く音。あれ?てかいま何時?…って時計見たら集合時間を10分過ぎてんジャン!ないわ!不良のくせに時間通り集合する委員のメンバーも竹田先輩も馬鹿じゃね!?
「朝から何してんの?あれか、発情期。」
「んなわけねーだろ。」
「ありえねーし…って、委員長…!」
あり得ない言葉に勢いよく噛みついちゃったけれど、中に入ってきた人は風紀委員を纏める委員長…龍崎博人(りゅうざきひろと)。背こそ竹田先輩ほどじゃないにしろ、ワックスで撫で上げた赤い髪をヘアバンドでとめて赤い瞳を惜しげもなくさらしている…うちで一番怖い人。
喧嘩も強いし頭も良い、家柄も相当いいところらしくて生徒会の会長と良い勝負らしいよ。何でもない時は眠そうな顔しているくせに、いざって時は目をしっかり開いて笑うって先輩たちが震えながら話してくれた…。
竹田先輩もため口で話しているけれど、委員長には絶対に逆らわないって。喧嘩で最強って言われているのにだよ?そんだけいろいろ怖いってこと。
でも口開いたら下ネタか自己中心的なことばっか、今だってそうじゃん。そりゃ男は起きてすぐは大変だけど俺は小虎ちゃんのおかげで数時間前に起床したし発情期じゃねーよ。
委員長専用のソファにどっかり座り込んでは欠伸をして、持っていた水のペットボトルを開けて口をつけた。この人が風紀室にいると空気はこの人を中心に渦巻いていく、委員長の一挙一動ですべて変わる。
数口水を飲んだ委員長は、竹田先輩を見て「千佳さ、あのプリント配っといて」と軽く指示。あ、竹田先輩って下の名前が千佳(ちか)っつーの。女の子っぽくね?…俺もとか言わないように。
「つか、真樹。」
「ぅあい!!」
ちょっとぼけっとしてたら急に俺のこと呼ばさてすっげー変な返事しちゃった、うわー委員長がアホを見る目で俺を見てる。いやアホなのは否定しません。
竹田先輩が笑いながら「やっぱ殴る前から馬鹿か」と言いながらプリントを渡してくれる、殴る前からってどういう意味?マジ最低なんですけど。あんたに殴られて馬鹿になっていってんの!一つ睨んでから委員長の方を見る、ペットボトル揺らし笑いながら首を傾げた。竹田先輩もエロいけど委員長もなんかやる気なくてエロ。
「玄関で一緒に居たのってセフレ?」
「………せ、せふ!?」
「お前初心な童貞でもねーくせに何どもってんだよ。」
言う事もエロいと来たか!!
これだから挨拶の次に下ネタ言ってくる人は嫌いだ!っていうかなんで30分前の玄関でのこと見てんのに集合時間には遅刻するの!?
明らかに動揺が隠せない俺に竹田先輩も周りの委員も「なんだなんだ」と面白そう。人でなしの集まりめ…言うけど不良が半数を占めているんじゃなくて、不良が9割占めているんだよ!おかげでこういうのには食いつき早すぎる。
ってかさ、あれだよね、玄関で一緒に居たって…小虎ちゃんのこと?もうマジあり得ないこの人!あの純粋無垢な小虎ちゃんのことをそんな風に見るとかマジない!
思わずもらったばっかのプリントを握りしめながら力いっぱい首を横に振った。頭もげるんじゃってくらいぶんぶん振った。
「あれは!同室者の小虎ちゃんって言って!今年編入してきたばっかの!真っ白な子です!」
「えーなになに、あの子小虎っていうの?」
「瀧野小虎!めっちゃ料理美味くて優しくて静かでめっちゃいい子!」
俺がこれでもかと力説しても周りは笑うばっか、実は俺以外に一年生ってまだいないんだよ。つまり俺が一番下っ端なわけ、からかわれるのも俺の仕事…嫌すぎ!
ムキになる俺に竹田先輩は頭をガシガシ撫でてきやがるし、あーせっかく綺麗に整えたのに!!でもその中で楽しそうに笑う委員長は「あれがねー」なんて呟いた。
あれが?なにか知っているような言い方に、竹田先輩も手を止めて委員長を見ては考え込んで「あ」と何かを思い出したかのように言葉をもらし委員長の傍へ歩いて行った。髪の毛ぐしゃぐしゃなんですけど…。
他の委員は俺の頭とかに笑っているままだけど、委員長たちは何か話していた…二人だけで。それを見て、俺はちょっと嫌な予感。この流れで二人で話すのって…小虎ちゃんのこと?でも小虎ちゃんって普通の庶民だって、片道四時間の遠くから来たって言っていた。だから二人と知り合いなわけない、なのに、
(二人は、小虎ちゃんを知っているの?)
嫌な予感、どうしたんだろう。胸がどきどき…いやバクバクする。
委員長たちは少ししたら顔を上げてそろって俺を見た、相変わらず眠たげな瞳の委員長と怖い顔の竹田先輩。何か話してくれるのかって、思わず期待して待ったら周りの笑い声は消えていった。打って変わってシンと静まり返った風紀室、潤したばかりの形良い唇がそっと開き声を発した。委員長だった。
「小虎ちゃんって、泣かせたい顔してたな。組み敷いてやりてぇ。」
「やっぱ下ネタかよ!死ね!!」
はやく小虎ちゃんに癒されたい、改めて風紀室は笑い声に包まれたけれど俺は嫌な予感が拭えないままだし虐められただけだし…もうやだ風紀委員やめたい。
2014,11,28
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