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軽くなりたい
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オレはいつも余裕のふり。軽いふり。強いふり。遊びのつもり。
余裕なんてない。気持ちは重く、すぐに頽れる。いつでも真剣。
でも、重たくなったら、負け。真剣になったら、負けなんだ。
高校3年の夏。
オレの部屋で、くだらない話をしていた時。
親友が興味本位でゲイものの動画をオレに見せた。
『やってみてぇなぁ……』なんてにやにやしながら言うから、オレは、『いいよ、やってみる?』って笑ってやった。
そしたら、本当にオレのこと押し倒してきた。
動画を見ながら、同じことをしてきた。
そのまま本番行為……。別に嫌じゃなかった……って言うよりも、オレは乗り気だった。
だって、好き、だったから。
でも、最後には、奴はオレをガンガン突き上げながら、オレの声を聞いたら萎えるって口を塞いできた。
苦しくて、涙が出た。
息も、体も、心も……。
オレが本気で好きなこと知った時、彼はオレのことを凄く蔑んだ。気持ち悪いって罵られた。
そして、笑ってくれなくなった。
言いふらされこそしなかったけど、笑いかけてもくれなくなった。
卒業するころには、可愛い彼女を連れていた。
やっぱり女には適わないんだと思った。
高校卒業と同時に、髪を金髪にした。少しでも軽くなりたかった。自分の重い気持ちを少しでも軽くしたかった。そして、チャラ男を演じ始めた。
オレは誰にも執着しない。だから、冷たくあしらわれても傷つかない。罵られても気にしない。
見かけによらず臆病で、前の彼を幻滅させた。
もっと強くて逞しい人だと思ったって。
だって、しょうがない。オレは、そんなに強くない。
でも、袮緒のこと嫌いじゃないから、抱いてやるってオレを抱いてくれたけど、お前の声は俺を萎えさせるって、やっぱり口を塞がれた。
臆病な自分は見せちゃいけない。オレは強くなくちゃいけない。甘えちゃ、いけない。
そんな自分を隠すために、オレはずっとチャラいふりをし続ける。
何物にも執着しないふりをし続けた。気づいたら、彼もオレの前から消えていた。
もう、いいや。オレは何も求めない。軽く、軽く、生きていく。
そう、思ってたんだ。
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