アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
いわゆるイケメン
-
袮緒の表情が徐々に暗くなる。
オレ、間違ったこと言ったのかな……。やっぱりオレじゃ、袮緒を慰めることはできないのかもしれない。
「ラブちゃんっ」
「おわっ」
後ろから、ギュッと抱きつかれて焦る。
抱きついてきた男、須栗 和良(すぐり かずよし・29)は、オレの隣に腰を下ろしながら、オレの頭をぐりぐりと撫ぜた。
須栗は、オレと同じくらい170㎝ちょっとの身長なのに、オレより体格がいい。堀の深い、はっきりした顔立ち、黒髪でツイストパーマをかけている……いわゆる、イケメンの域に入る男。
「久しぶりだな、ラブちゃんっ」
須栗はにこにことオレを見る。
「ばっ……、そのあだ名で呼ぶなっ」
オレは次第に自分の顔が赤らんでいくのを感じた。
オレと唯一が同期入社で『佐藤』被りだったので、オレが唯一に『オンリー』というあだ名をつけたら、仕返しとばかりにオレに『ラブちゃん』なんてふざけたあだ名を付けられた。
いい歳した大人につけていいあだ名じゃない……。
「ラブ、ちゃん?」
袮緒が、ぼそっと呟く。呆気にとられた表情でオレと須栗を見ている。
「そう。愛に生きる、ラブちゃん。オ……」
須栗はにこにこしながら、袮緒にオレのあだ名の説明をする。
オレは、慌てて須栗の口を手で塞ぐ。
「ごめん、袮緒。ちょっと待ってて」
そう言って、須栗をずるずると引きずり、誰も居ないボックス席へ移動した。
「なんだよっ」
須栗は、ボックス席に対面で座り、眉間に皺を寄せ、オレを見る。
「今、『オンリー』って言いそうになったよね?」
「へ?」
素っ頓狂な声を出す須栗。それが何か? と言いたげだった。
「あのコの前で、その名前、出さないで」
まだ、須栗は意味が分からないというように、怪訝な顔をする。
「唯一の今彼が、あのコの好きな人だったんだよ……」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
6 / 97