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意外に高い身長
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ちょっとやりすぎたかな……。
素っ気なく、興味のない振り。感情を悟られるのが嫌で、人の顔を見ない。
袮緒はすごく怖がりなんだと思った。
本心を見透かされるのが怖くて、気のない素振りをしている……そんな感じがした。
「そんな怒んなよ」
視線をグラスに戻し、少し不満顔の袮緒。
祢緒の頭を、撫ぜようとした俺の手は、頭にたどり着く前に、無造作にゆるりと払い除けられる。
「怒ってないですよ」
袮緒は片手でゆっくりと髪を掻き上げ、冷静を装う。
「ごめんね」
袮緒の顔を覗き込みながら、愛生が謝る。
「……謝らないでくださいよ。別に何とも思ってないですから」
袮緒の表情がまた、無表情に変化していく。目の前のハイボールに口をつけ、ふぅっと息を整える。
「今日は帰ります」
袮緒は、ゆっくりと席を立ち、財布を取り出した。
立ち上がると、袮緒が意外に大きいことに気が付いた。身体のラインは細いが、高さがあった。
「でかいな?」
声に反応し、俺を見た祢緒の顔はあからさまに嫌悪を表していた。
「……179㎝」
祢緒は、ぼそっと呟き、ふぅっと小さなため息を漏らした。視線が床に落ちる。
ゆっくりと瞬きをし、一呼吸おいて、口を開く。
「とりあえず、帰ります。いくらですか?」
淡々と言葉を吐き、愛生に問う。
「いいよ、俺の奢りで」
袮緒の視線が一瞬、俺を捉える。でも、すぐにそれは財布へと舞い戻る。
「いいです、払います」
「いいって。怒らせたから、罰金」
そう言って笑うと、袮緒は、また、ため息を吐いた。
「別に怒ってないんですけど……ご馳走さまです」
俺にぺこりと頭を下げる。財布をしまいながら、愛生にお先に失礼します、と告げ、袮緒はゆっくりとバーを出て行った。
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