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嫌いじゃない
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なんで居るんだよ……。
愛生さんに連れられて、バーに入ると、カウンターに須栗さんが居た。
マスターと楽しそうに談笑している。
最初に会ったのが10日前。最悪の初対面。
愛生さんは中に入ると、須栗さんに声を掛ける。
須栗さんはオレに視線を向けると、よっと手を上げ、にこりと笑む。
愛生さんは須栗さんの横の椅子を引き、オレをそこへ呼び込んだ。
からかわれんの嫌なんだけどな……。
オレはそのまま、愛生さんの指示通りにその席へと腰を下ろした。
「ハイボール?」
須栗さんがオレに問う。オレは黙って、ため息交じりに頷いた。
愛生さんがハイボールとビールを注文する。
「そんなに俺のこと嫌い?」
須栗さんはオレの顔を覗き込みながら、淋しそうにオレに問う。
「嫌いじゃないですよ……別に」
須栗さんに視線を向けず、さらっと吐いたオレの言葉。
隣で須栗さんがはぁっとため息を吐く。
視線を向けると、須栗さんは、カウンターに頭を預け、突っ伏していた。
「いいんだぁ……俺なんて……俺なんて……」
いじけたようにぶつぶつと呟く。
なんだかオレが苛めてるみたいで、申し訳なくなってくる。
「嫌いじゃないですって……」
マスターに出されたハイボールを受け取りながら、言葉を吐く。
「うそだぁ……袮緒は俺のこと、嫌いなんだろぉ……」
須栗さんは、拗ねた子供のような声で、呟く。
「嫌いじゃないですって……しつこいですよ」
ため息が漏れる。
オレより年上のクセに子供みたいな人だな……。
「じゃぁ、嫌いじゃないって証拠に、日曜、ドライブ付き合って」
須栗さんは、顔を上げ、にやっと笑った。
オレは突飛な須栗さんの提案に、眉間に皺を寄せる。
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