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飯田が残したオムライス……といっても、ほんの一口しか食べていなかったそれを口に運びながら、袮緒に問う。
「そう言えば、ドライブ、どうだった?」
袮緒は、不思議そうにオレを見ていた。
オレの声に、一瞬、考えるように目線を上にあげる。
「弱ってました……須栗さん」
そう言って、チャーハンに視線を戻し、口に運ぶ。
ちょっと困ったように眉間に皺が寄る。
「でも、帰りには元気になってましたよ、たぶん」
今度は少し、笑顔が見える。
視線はチャーハンに向けられ、あまり顔をしっかりとはオレに見せないが、袮緒の表情はころころと変わっていた。
「そう。よかったね」
オレの言葉に、何を意図しているかわからないというような瞳を向ける。
須栗の話をする袮緒は、今までと違い、少し、感情が表に出ている気がした。
何事にも素っ気ない袮緒が、須栗に興味を引かれている……そんな気がした。
「次の約束はしたの?」
「あ、はい。再来週、メガネを買いに行きますよ」
今度はオレがきょとんとしてしまった。
2人ともメガネなんてかけているところを見たことがない。
袮緒はオレの顔を見て、慌てたように言葉を繋ぐ。
「あ、オレのです。運転用の……」
「そうなんだ」
にこりと笑むと、袮緒は少し照れくさそうな顔をして見せる。
このまま、袮緒が元気になってくれればいい、オレはそう思っていた。
袮緒に恋愛感情がある訳じゃない。でも、可愛い後輩であることに間違いはない。
このコの優しさが、真面目さが報われればいいと思ったんだ。
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