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ありがとう
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袮緒は振り返り、入り口を見つめ、嬉しそうに笑む。
「嬉しそうだな?」
俺は袮緒の笑顔が嬉しかった。俺まで、顔が綻ぶ。
不意に袮緒の視線が俺を捉える。袮緒の顔色が瞬間的に曇る。
「なんか、すいませんでした」
あんな高い買い物……と、落ち込むように視線が落ちる。
「やっぱり、はら……」
袮緒の手がトートバックにかかる。袮緒の腕を掴み、俺はやんわりとその動きを静止する。
「気にすんな。金だけはある」
袮緒の前に回り、にやっと笑うと、袮緒はやっと、くすっと笑った。
袮緒は、一度、ゆっくりと瞬きをし、口を開く。
「ありがとう」
そう言って、オレに笑顔を向けた。
その顔がすごく可愛く……愛おしく思えた。
車に乗り込み、俺は袮緒の頭をくしゃっと撫ぜた。
俺の不意の行動に、袮緒の視線がこちらを向く。
「メガネ届いたら、今度は袮緒の運転でドライブしようか」
そう言って、にこりと笑むと、袮緒の視線は俺から逃げる。
「また、オレが運転するんですか?」
袮緒は、オレの運転、怖いでしょ? といつもの素っ気ない感じで呟く。
「全然。今度は少し、遠出したいな、俺……」
ちらっと横目で見た袮緒は、目線は外に向いていたものの、口元は少し笑んでいる。
「ちゃんと会話をしてくれるんなら、いいですよ」
素っ気なく、でも、少しだけ意地の悪い声。
「もう、罰金払いたくねぇからなぁ」
おチャラけた俺の声に、ははっと袮緒が声を立てて笑った。
もっと、見たい。もっと、知りたい。
俺は、もっといろんな袮緒が見たい……。
袮緒……俺、お前のこと、好き、みたいだ。
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