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オレにはわからない
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オレのこの行為はおせっかいなんだろうか……。
オレは自分のやろうとしていることが正しいのか、間違っているのか、悶々と考える。
須栗とメガネを買いに行くと、はにかみながら話していた袮緒が、月曜日には目を腫らして出社した。
何かあったの? と聞いても、少し寝不足なだけです、というだけで、何も話してくれない。
寝不足であんなに瞼が腫れるとは思えないよ。
オレは、ふーっと長い息を吐いた。
間違えなく、須栗が絡んでいる。オレは須栗に聞くしかないと思った。
でも、人様の恋愛にズカズカと土足で踏み込むのも、どうかとも思う……。
特に、オレにこいつらの気持ちを理解できるのか……。
「愛生?」
ビールグラスを見つめながら、思いを巡らせていた。
振り返ると、須栗が、よっとオレに挨拶をする。
「待たせた? 悪いな」
須栗は、オレを申し訳なさそうに見ながら、隣に腰を下ろし、ビールを注文する。
「いや、呼んだのオレだし」
オレは、須栗に、にこりと笑む。
「相談って……なんだ?」
須栗が不安げな表情でオレを見る。
「袮緒と……なんかあった?」
オレを見ていた須栗の瞳がするっと逃げた。
須栗は、口を閉じて黙り込んだ。
「オレじゃ……ダメなんだよ」
黙っている須栗に、オレはため息交じりに言葉を紡ぐ。
「袮緒はオレにも本心は見せない。ずっと何かに怯えてるようで、ずっと肩肘張ってんだよ……ノンケのオレじゃ、きっと、袮緒の力にはなってやれない」
人を想う気持ちは一緒。男も、女も、関係ない。
……でも、オレじゃ、袮緒を助けてやれない。
ノンケのオレじゃ袮緒の傷の深さはわかってやれない……。
ごめんね、袮緒。オレでは、君の傷を癒してあげることはできないね。
頼りない先輩で、ごめんね。
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