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飯田の誘い
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須栗さんの前で泣いてしまい、勝手に帰ってしまったあの日。あれから8日間の時が経過していた。
須栗さんからの連絡は、ない。
いきなり泣いて帰られたら、どうにも出来ない。当たり前。
オレから連絡なんて出来る訳がない……。
いいんだ。これで、いい。
これ以上、好きになりたくない。
これ以上、傷を負うのは、嫌なんだ……。
珍しく飯田がオレを飲みに誘った。
忘年会のお詫びに奢るから……と。
オレは飯田の行きつけだと言われたバーに居る。
飯田は、野暮用を済ませてから行くから先にココに行っているように、と名刺を渡された。
愛生さんの行きつけのバーよりも、さらにこじんまりとした感じだった。
カウンターが5つと入り口からは陰になっている場所にボックス席がありそうだった。
オレの他に客はいないように見えた。
ハイボールを注文し、鞄やコートを隣の席に置く。腰を下ろそうとしたオレの視界の端にボックス席の人影が映る。
視線を飛ばした先に居たのは、……須栗さんだった。
なん、で?
須栗さんはオレを認識し、ゆっくりと立ち上がる。
忘れようと思ったのに。
会わなければ、こんな気持ちも消える。
そう思っていたのに。
オレはすべてを置いて、バーを走り出た。
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