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謎の微笑み
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袮緒の笑顔が俺に向いた…。
バーに戻ろうと、袮緒の手を引き歩いた。不意に、祢緒の足が止まり、俺の手から逃れた。
不審に思い、振り返った俺の視界に入ったのは……流生だった。
流生は、側まで来ると、俺にきゅっと抱きついた。
「おまっ……」
俺は慌てて、流生を引き剥がそうと焦る。
袮緒の前で何してんだよっ。
「もう一回、やり直し、しよ?」
そう言った流生は、俺の胸元を掴み、背伸びする。
俺は慌てて、流生の口を右手で塞ぎ、顔を背ける。
ちらっと視界に入った袮緒、目をギュッと瞑り、俯いていた。
視線を流生に戻し睨み付ける。流生はそろりと手を離した。
「袮緒? ごめん……」
俺の声に袮緒はゆっくりと瞳を開けた。
そして、なぜか悲しげに、微笑んだ……。
ゆっくり歩み寄り、袮緒の腕に手を伸ばす。
「触んなっ!」
袮緒が声を荒げた……。
俺は袮緒の声に、動けなくなる。
「もう会いません……さようなら」
淡々と言葉を吐き、袮緒はくるりと踵を返し、ゆっくりと外に向かって歩き出した。
俺はただ、袮緒の後ろ姿を見送ることしかできなかった。
そんな拒絶を示されたら、俺はお前を追えない……。
悪いのは俺。
元彼と別れた淋しさから、軽い気持ちで手を出した。
遊びでいいよって言い寄られ、数回、身体を重ねた。
こんなことになるのなら、流生とやらなければ良かった。
悔やんでみても仕方ない。
もう少し、もう少しでお前を……お前の愛を手に入れられそうだったのに……な。
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