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オレは邪魔者
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『もう一回、やり直し』
そう言った、彼の言葉が頭に反芻した。
……元彼?
オレは思わず、ギュッと目を閉じた。
瞑った瞳の奥には、涙を零す須栗さんの顔が、浮かんだ……。
「袮緒? ごめん……」
須栗さんの声に目を開けた。須栗さんは、悲しそうな顔で俺を見る。
あぁ、そっか。
そうだね、良かったね、須栗さん。
オレ、いらない、ね……。
だって、目の前に居るのは、須栗さんが好きだった人、……泣いちゃうくらい好きな人でしょ?
オレが居なければ、幸せになれるね。やり直せる、よね。
気持ちがぎゅっと締め上げられる。
須栗さんがそっと近寄って、オレに手を伸ばす。
「触んなっ!」
無理だよ。もう、無理。オレ、これでも精一杯なんだ。
これ以上、冷静でなんて居られない。強いふりなんてしていられない。
でも、困らせたくないんだ。邪魔、したくないんだ。
「もう会いません……さようなら」
その場に居たくなくて、踵を返す。オレはそのまま、外に向け、歩き出す。
オレはまた、邪魔者でしかなかった。
やっぱり、オレの心は報われない…ね。
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