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心の吐露
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「オレは、邪魔、だから……」
愛生さんの手に促されるようにオレは心を吐露し始める。
「須栗さんには、すごく好きな人がいるんです」
オレの顔は、弱く笑む。愛生さんは何も言わずに黙ってオレの話を聴き続ける。
須栗さんの好きな人はオレじゃなくて……。
「オレがいなければその人と幸せになれる……」
須栗さんは、やり直そうと言われたら、オレよりきっと、元彼を選択するだろう。
オレの顔から笑みが消えていく。一生懸命笑おうとしても、ゆっくりと涙がせり上がる。
「オレが居たら、迷惑になる……」
オレへの罪悪感で須栗さんを迷わせてしまう。オレは須栗さんを困らせたい訳じゃない。
須栗さんには幸せになって欲しい。
心がギスギスと嫌な音を立てて軋む。
「でも、オレ……やっぱり須栗さんが好きで、……」
好きな人には、笑顔でいて欲しい。
邪魔なんてしたくない……。
でも……。
「ここが、痛い……」
行き場のないオレの気持ちが悲鳴を上げた。
オレは胸元のシャツをギュッと握る。一緒に瞳から涙が零れ落ちた。
「須栗さんに、出会いたく……なかった」
オレの口から思ってもみない言葉が滑り落ちた……。
そんなの……嘘なのに。
本当は、出会えたことに感謝したい。でも、それ以上に痛む心。この痛みは出会ってしまったから。好きになってしまったから。
重たくなったら負けだって、真剣になったら負けだって、思っていたのに。
オレは本気で須栗さんに恋をして、勝手に傷を負ってしまったんだ……。
出会ったことが悪いんじゃない。自分を抑制できなかった、オレが悪い……。
どんなに外見を変えたって、チャラい奴を演じたって、結局、オレはオレでしかない。本気で人を好きになってしまった。
本気で人を愛しても、誰もオレを見てくれない。本当のオレを愛してなんて、もらえない……。こんな見かけ倒しの弱いオレなんて、こんな外見のオレなんて、愛してなんて、貰えない……。
「袮緒……間違ってるよ」
愛生さんの言葉に瞳を向ける。愛生さんはオレに見向きもせずに、車をゆっくりと発進させた。車はゆるりとUターンする。
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