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もっと素直に
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袮緒は、流生という男のことを元彼だと勘違いしていると思った。
例え流生が元彼だとしても、好きな気持ちを封じ込めちゃいけない。
どうするかは、須栗次第。袮緒が結論付けていいことじゃない。
好きな人に出会わなければ良かったなんて言っては、いけない。
喩え、失恋だとしても、その出会いは君を成長させてくれる。愛する心を教えてくれたはず。
お互い、好きという気持ちを持ちながら、遠慮し、傷つけ合う。
優しさが、邪魔をして素直になれない。怖さが邪魔をして、優しい心を隠し去る。
もっと素直に、もっと心に素直になれば、君たちは傷つかなくてすむはずなのに……。
「お前ら、面倒くさいな」
オレの言葉に、袮緒は、泣き顔のまま、オレを見る。
オレは思わず、クスッと笑ってしまった。
喩え、オレのこの行動がおせっかいだとしても、見て見ぬふりなんてできないよ。
お前たちが傷つけ合うのを見過ごすなんて、オレにはできない。
「虚勢を張るな。もっと、素直になれ……オレからのアドバイス」
そう言って、オレは、前を見据えたまま、にこりと微笑んだ。
流生のことは、オレの口から伝えることじゃない。
須栗を捕まえて、きちんと話をさせないと、何の解決にもならない、そんな気がした。
バーへ向かう道すがらのコンビニに車を止めた。
勢いで、バーへ向かおうとしていたが、時間が早すぎて開店すらしていないことに気が付いた。
「袮緒、ちょっと乗ってて」
そう言って、オレは車を降りた。袮緒を車内に残したまま、運転席の扉の横で須栗にコールした。
数回の呼び出し音の後に、須栗の声が届いた。
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