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後で、わかるよ
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運転席に愛生さん、助手席に唯一さん、後部座席の運転席側からオレ、飯田、宇野さん。
男4人と女1人を乗せた愛生さんの車はぎゅうぎゅうだった。
最初に口を開いたのは唯一さんだった。
「いやぁ、袮緒が来てくれて助かるっ」
人数少なくて、遊びの試合もできやしねぇ、と付け加える。
宇野さんに恋をしていたころ、オレは唯一さんを敵視していた。羨んでいた。
でも今は、オレの心は須栗さんにしか、ときめかない。
唯一さんへの敵対心は、ない。嫉妬心も、ない。
宇野さんへの恋心も、どこかに、消えた……。
オレはぎゅうぎゅうの車内で身体を捻りながら外を見ていた。
外に視線を向けたまま口を開く。
「たまには動かないと鈍るんで……ぅおっ」
急に、横から身体を乗り出した飯田が、オレの腰を両手で掴んだ。
「運動しているようには見えないよね」
ほっそい腰っ、と呟く飯田。
オレは、腰を掴んでいる飯田の手を、ため息交じりに引き剥がす。
「細くても動けるよ……」
へぇっと言う飯田の視線がなんだか、いやらしさを含む。
オレはまた、外に視線を飛ばす。
「お前ら本当に仲いいなぁ……付き合ってんのか?」
唯一さんがくいっと首を捻って、オレと飯田に視線を向けた。
オレは思わず、唯一さんに顔を向け、目を丸くして凝視する。
愛生さんと飯田からは、堪えきれないというような笑い声が漏れ聞こえる。
唯一さんはそんな3人の仕草に顔を顰め、宇野さんは飯田の隣で、きょとんとしていた。
「後で、わかるよ」
そう言って愛生さんは唯一さんの肩をぽんぽんっと叩いた。
後で、わかる?
愛生さん、飯田に告白するつもりなのかな?
もう、付き合ってるのかな?
愛生さんの言葉の意味を理解する前に、目的地の小学校に到着した。
車が駐車場に近づいて、やっとオレは、愛生さんの言葉の意味を理解した。
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