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嬉しいけど、照れ臭い
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メタルブルーの普通ワゴン車の横でスマホを弄る人影。
視界に捉えた唯一さんが、口を開いた。
「ん? なんで須栗が来てるんだ?」
愛生さんが車を駐車しながら、くすりと笑い、言葉を発する。
「彼氏に会いにきたんじゃない?」
オレの顔が微かに赤みを帯びる。横で飯田がくくっと声を詰まらせ笑う。
「彼氏?」
考えを巡らせていた唯一さんが、急にがばっとこちらに振り返った。
唯一さんは、微かに赤くに染まり、視線を泳がせるオレを凝視する。
「良かったなぁ、袮緒っ」
唯一さんは、まるで自分の事のように嬉しそうに、ははっと笑った。
飯田の横では、宇野さんが終始ぽかんとした顔をしていた。
「なんで来るって言ってくれなかったんですか?」
車を降り、体育館に向かう途中、須栗さんを捕まえて詰問する。
須栗さんが来るなら、来なかったのに……。
あれ、違う?
意図せずに須栗さんに会えてすごく嬉しい。
来てなかったら、会えなかった。
でも……なんか気持ちが、もやもやする。
急に須栗さんが登場して、心が混乱していた。
「愛生に止められたから。祢緒には内緒だって…」
オレを見つめ、しれっと言い、言葉を繋ぐ。
「だって、俺が来るって言ったらお前、来ないだろ?」
恥ずかしがって、と、須栗さんはオレを見ながら、にやりと笑う。
オレは無言で、少しだけ口を尖らせた。
あぁ、そうだ。会えたのは、嬉しいけど、みんなにバレるのは、まだ少し、照れ臭いんだ。
「ははっ。そんな可愛い顔すんなよ」
須栗さんは、手を伸ばし、オレの頭をわしゃわしゃと撫ぜた。
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