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袮緒からの伝言
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俺は、袮緒からの伝言を伝える為に、愛生の元へ向かう。
途中、ジャージ姿の祢緒が視界に入り、しばし見惚れてしまった。
先に体育館に入っていた愛生は、飯田ともう1人、同じ車で来ていた人物と一緒に居た。
「愛生ぃ」
俺の呼びかけに気付いた愛生は、手招きをする。
愛生の元へ着くと、にこりと俺に微笑み、口を開く。
「このコが宇野、唯一の彼氏ね」
愛生の横で宇野と呼ばれた彼は、目を丸くする。
声にならない『えぇーっ?!』という言葉が聞こえてきそうな顔。
確かに小さくて可愛い。
袮緒が想いを寄せていた、人、か……。
「こっちが須栗。唯一の……友達?」
愛生が急に首を捻る。どう紹介すればいいのか、迷ってしまったようだった。
「んー、まぁ。そんなもん?」
「……てか、袮緒の彼氏ね」
再び、宇野は、顔で『えぇーっ?!』を表現する。
俺は思わず、ぷっと吹き出してしまった。
「宇野さん、さっき車の中で話してたじゃないですか? 聞いてませんでした?」
飯田が、頭がパンク状態の宇野をフォローする。
宇野は飯田の説明を聞きながら、ひとしきり瞳を瞬くと、気持ちを落ち着かせるように、ふぅっと息を吐き出した。
俺に視線を向けると、ぺこりと頭を下げる。
「宇野 智樹です」
そう言って、ニコリと笑って見せた。
「須栗 和良、『袮緒の彼氏』です」
にっと俺が笑うと、宇野は、ははっと声を立て笑った。
宇野は、飯田に視線を戻すと、ビックリした……、と呟いていた。
「愛生、袮緒から伝言」
言葉に愛生は、きょとんとした瞳を俺に向ける。
「黙っていたら伝わるもんも伝わらないって……」
俺は、眉間に皺を寄せながらも、袮緒の言葉を忠実に伝えた。
俺の言葉に、愛生は瞬間的に眉を寄せる。何かを思い返すように、視線を宙に浮かせた。
「なんの話ですか?」
宇野と話していると思っていた飯田が、ひょこっと首を突っ込んできた。
飯田を視界に捉えた愛生は、はっとした顔をする。その顔が急激に赤くなり、目が泳ぐ。
「はっ? えっ?」
もしかして、こいつら両想いなんじゃねぇの?
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