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チラリズムは不可抗力 = 禁止
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須栗さんが唯一さんの頭を思い切り、引っ叩いた。
唯一さんは叩かれた頭を摩りながら、口を開く。
「これは不可抗力だろ」
「不可抗力もクソもあるかっ」
須栗さんは、苛立ちをそのままに言葉を吐き捨てる。
なんの話?
「はい」
ボールを取りに行っていたらしい宇野さんが、唯一さんにバスケットボールを差し出す。
「おぉ。サンキュ……喉、乾いたな。ちょっと買いに行くか」
唯一さんは、宇野さんに笑いかける。宇野さんは嬉しそうに、コクンと頷いた。
オレは、2人が体育館を出ていくのをじっと見つめていた。
「袮緒?」
声に視線を向けると、淋しげにオレを見つめる須栗さんの瞳。
「まだ、好きなのか?」
怪訝な表情のオレに、須栗さんは、弱く笑む。
「好きだったんだろ? 彼のコト……」
「宇野さん?」
須栗さんは、オレの問いに、瞳を閉ながら、ゆるりと頷く。
「俺は2番目なのかなぁと思ってさ……」
須栗さんは怒るでもなく、嫉妬するわけでもなく、ただ哀しそうに言葉を紡いだ。
「なに言ってるんですか?」
オレは少し、笑う。
「オレが好きなのは須栗さんですよ。もう、宇野さんへの気持ちはありませんよ」
須栗さんの手を取って、指を絡める。
「いい関係だなと思っただけですよ、オレも、そうなりたいなと思っただけです」
そう言って、須栗さんを見上げ、にこりと笑む。
須栗さんは、ほっとしたようにふぅっと息を吐いた。
心配かけてごめんなさい。
でも、オレ、本当に、今はあなたしか見えてないよ。
絡めた指をじっと見ていた。
「あ、あとな」
声に、再び、視線を向ける。
須栗さんから、先ほどの淋しさは消えていた。
「シャツ捲って顔拭くの禁止な」
オレは、須栗さんの言葉の意味が掴めずに、きょとんとする。
「俺が同じ格好して、裾捲って顔を拭いたら、腹、見えるだろ?」
オレの頭の中で、須栗さんがジャージ姿でオレと同じ動作をする。
ちらりと覗く須栗さんのお腹……。
想像に、オレの顔が微かに赤みを帯びる。
「な? だから、禁止」
オレの顔色を確認し、須栗さんはにやりと笑う。
オレは、少し赤みを帯びた顔を片手で隠しながら、恨めしそうな視線を須栗さんに向けた。
そんなオレに、須栗さんはくすっと笑った。
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