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2台の車と3カップル
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帰り際、ジャージの上にコートを羽織り、唯一さんと供に愛生さんの元へ足を向ける。
愛生さんの横には飯田が居た。愛生さんと飯田の手は初々しく繋がれている。
それをニヤニヤと見つめる須栗さんと、にこにこと見つめる宇野さん。
愛生さん、うまく行ったんだ。
オレは、少し笑む。
オレと須栗さんの関係を知ったときの、唯一さんの気持ちが少し、わかった気がした。
オレを視界に捉えた愛生さんが口を開く。
「袮緒は須栗に送ってもらってね」
オレは、きょとんと愛生さんを見る。
「さすがに車、狭いし。そのために来てもらったんだ」
愛生さんは、にこりと笑む。
いつもなら、冷やかしの言葉を吐きそうな飯田。今は、しおらしい。
そんな飯田のあからさまな変化に、オレはまた、笑いそうになるのを必死に堪えた。
「俺らも邪魔?」
唯一さんが宇野さんに話を聞き、口を開く。
唯一さんの顔も須栗さん同様に、ニヤニヤとした笑みを浮かべる。
「邪魔だって言ったら、歩いて帰ってくれんの?」
愛生さんは苛立ちながら言葉を発し、唯一さんに一瞥をくれる。
「ぅっ……須栗ぃ……」
「乗せねぇよっ」
情けない声を出す唯一さんに、須栗さんは、ぴしゃりと拒絶の意を示す。
「お前、冷てぇなぁ……」
唯一さんは眉根を寄せ、須栗さんを見る。
須栗さんは、ニヤリと笑いながら、宇野さんに声を掛ける。
「お前なら乗せてやってもいいぞ?」
「ボクは、唯一さんと帰ります。歩きでもいいですよ?」
宇野さんの可愛い瞳が唯一さんに向けられる。
唯一さんは、その視線と言葉に、顔を綻ばせた。
「付き合ってらんねぇ。袮緒、帰るぞ」
須栗さんがオレの手を取り、歩き出す。オレは、ぺこりと頭を下げ、引きずられるように連れ出された。
唯一さんは愛生さんを拝みながら、なんとか車に乗せてもらえるように交渉していた。
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