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消えない不安
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袮緒はもう、宇野に興味は無いと言った。
でも、宇野と俺とでは、あまりにもタイプが違い過ぎる。
小さくて可愛らしくて、一歩引いて付いてくる彼と、体躯がしっかりしていて可愛いとは言い難く、先を行く強引さを持つ俺。
2番目ならそれでもいいと思っていた。袮緒が傍にいてくれるのなら、俺は何番目でもかまわない。
でも、袮緒はそれを笑い飛ばした。
それは、本心なのか、気遣いなのか……。
少なからず、俺の心にはわだかまりが沈殿した。
そのわだかまりが俺を躊躇させる。不安にさせる。
袮緒のため息交じりの返答に、憂いの気持ちが顔を出す。
――俺と一緒に居たくないのか?
袮緒はかぶりを振って否定した。
それでも、不安は消えなくて、俺はずっと袮緒の顔色を窺っていた。
『どこかでお弁当買って、家で食べませんか?』
その言葉に、その瞳に、安心を得る。
大丈夫、袮緒は俺と居ることを望んでいる……。
信じて、いいんだよな……?
コンソールボックスの上では、俺たちの指が絡み合う。
指の感触に、ちらりと覗いた袮緒の腰回りが頭に浮かぶ。
触れたい。撫ぜたい。……口づけ、たい。
「須栗さん……、それ、禁止……」
助手席をちらりと見やる。
弁当屋を探し、視線を走らせていた袮緒の目が、俺の口元を捉えていた。
「なに?」
「口、舐めんの、なんか…エロい……」
俺は、無意識に下唇をぺろりと舐めていた。
袮緒は俺の口元から、すっと視線を外す。耳が赤く染まる。
「2人なんだから、別にいいじゃん」
俺は、声を立てて笑う。
袮緒は無言で、手を痛いぐらいにギュウッと握った。そして、聞こえるか聞こえないかの音量で、キス…したくなるじゃん……と呟いた。
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