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何を思う、何を考える
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「弁当……冷める前に食べませんか?」
赤く上気した顔で袮緒は、その先へ行くことを拒んだ。
俺を見つめていた瞳が、するりと逃げる。
祢緒の中の『素直な心』が身を潜める。
何かを、隠した……。
「ん。あぁ」
俺は、袮緒の頬に充てていた手をそっと放す。
何を思った? 何を考えた?
きっと何かが袮緒の脳裏に過った。
俺のキスに気持ちよさそうに身を委ね始めた直後、袮緒は少し身体を固くした。
ぴくりと首を引き、俺から離れた。
袮緒の心には、まだ、宇野が居るのか?
流生のこと、まだ、気にしているのか?
「お茶で良かった?」
コップに茶を注ぎながら、平静を装い、袮緒に問う。
「あ、うん」
袮緒も、何事もなかったかのように返答する。でも、その視線は俺に、向かない。
俺に袮緒の頭の中が見通せる、わけがない。
袮緒はまだ、俺に本性を見せていない。
……本心を曝け出しては、いない。
「なに見る?」
言いようのない不安感を払い除けるように、俺はテレビの電源を入れる。
「なんでも……」
袮緒は、がさがさと弁当を開けながら、ぼんやりと言葉を紡ぐ。
どうしたら、お前を自由にしてやれるんだろう。
もっと楽にしてやれるんだろう。
……俺に本心を見せてくれるのだろう。
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