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憧れと恋心
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「俺のこと……好きじゃねぇのかよ……」
悲しそうな須栗さんの声に、心が潰れそうだった。
オレの強がりが、また、須栗さんを不安にさせた。傷、つけた……。
悲しい顔を、不安な顔をさせたくなくて、一生懸命、強いふりをした。余裕ぶって見せた。
でもそれは、結果的に、須栗さんの心を悲痛の色に染めた。
拝借品の鬣じゃ、オレはやっぱり強くはなりきれない……。あなたを癒せるほど、強くはなれない。
……素直に、素の、本来の自分で、向き合わないと、いけないんだよね。
例え、あなたに嫌われてしまうとしても……。
弱く、臆病なオレに失望されるとしても……。
「好きですよ……」
オレは想いを言葉にする。胸元のシャツをぎゅっと握った。
「オレ、須栗さんには、恋を……してます…」
愛生さんに吐露した心。あの時に感じた痛みが、再び胸の奥でジリっと燃えた。
「宇野さんへの気持ちは、……きっと…憧れ、なんです」
ゆっくりと反転し、玄関に腰を下ろし、少しずつ言葉を紡ぐ。
「小さくて、可愛くて……オレにないものをたくさん持ってる」
オレが宇野さんのように小さくて、オレが宇野さんのように可愛くて、……そんな姿なら、こんな臆病な性格でも、愛らしく見えたんだろうな。
「宇野さんが羨ましかった……」
宇野さんのように小さくて、可愛かったら、こんなに不安な気持ちには、ならない。
嫌われるかもしれない……なんて不安な気持ちは、きっと、起きない。
「宇野さんが両想いになって…幸せになって、嬉しかったんです」
宇野さんに対する想いは、きっと、憧れだったんだ。
だから、唯一さんが結婚していないって知って、宇野さんが愛されているとわかって、嬉しかった…。
「須栗さんが他の人と幸せになるのは、考えたく、ないんです。気持ちがそれを…許さないん、です……」
須栗さんに対する想いはきっと執着……恋、なんだ…。
元彼が現れても気持ちが止められなかった。
好きな気持ちが溢れ出して、止められなくて…苦しかった。
オレの恋心は、好きな人の幸せすら願えない。
好きな人が、オレ以外と幸せになるなんて考えられない。
大好きな人を独り占めしたい。傍に居たい。誰にも渡したく、ない。
そんなオレの恋心が、自分の幸せを求め、心の中で蠢き、始めた……。
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