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願えない幸せ、渇望する欲求
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「オレ、須栗さんの傍に居たい……」
だから一生懸命、頑張ったんだ。誰にも渡したくなくて、強いふりをした。余裕ぶって見せた。
「本当に須栗さんが好きで…」
好きになってしまったら、嫌われるのが怖くなった。
ずっと傍に居たくなったんだ。
ごめんなさい。大好きな人の傍に居続けたくなったんだ…。
「嫌われるのが、怖く…なったんです」
須栗さんに嫌われる…そう考えるだけで、心がミシミシと嫌な音を立てて軋んだ。
「オレ、臆病な人間だから……泣き虫で、弱虫で、臆病だから……きっと、須栗さん……オレのこと…嫌いに、なる……」
片手で顔を覆った。涙がじわりと瞳を濡らした。
もうきっと、飽きられる。こんな、でかいなりをして泣き虫で、臆病なオレなんて可愛くもなんともない。
須栗さんは、きっとオレを嫌いになる…。
思うだけで、オレの目には涙が溢れかえる。
でも、それでもオレ、傍に居たい……。
胸の奥で須栗さんへの想いがジリジリと燻る。
須栗さんの幸せを願えない罪悪感と、渇望する自分の欲求が心の中で混沌を生む。
出口のない混沌の中で、心がギリギリと締め付けられた。
好きだから傍に居たい。嫌われても、離れたく、ない。
離れていかないで。好きじゃなくてもいいから、オレの傍に居て。
「お願い……傍に居て……」
オレの瞳からは我慢していた涙が零れ落ちた。
どうにもできない想いが涙となって溢れ出る。
嫌われたら、傍に居れない……でも、誰にも……渡したく、ない。離れたく…ない。
「好きになって……ごめんなさい…」
オレの恋心が…エゴイズムな心が邪魔をする。須栗さんの幸せを願えない。
離れたく、ない……。
須栗さんはゆるりとオレの横に腰を下ろした。
「なんで謝るんだよ……」
須栗さんの手が、オレの頭をわしゃっと撫ぜる。
須栗さんの盛大なため息が漏れ聞こえた。
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