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深夜
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家のものが寝静まった頃、私は用を足しに部屋を出た。
隣の部屋に眞人の気配はない。当然、一階の客間かどこかで休んでいるのだろう。
電気もつけず、薄暗い階段を下りていくと、下で何かがもぞもぞと動いていることに気付いた。
眞人だった。
「…何、してるの」
声をかけると、眞人ははっと顔を上げた。
階段の下には、車椅子。眞人は階段の三段目くらいに座って、はぁはぁと息を切らせている。
月明かりに浮かぶその姿に近寄ったら、手の側に盆が置かれていることに気付いた。
「はは。見つかっちゃった…な。これ、夕食。ちゃんと食べないとダメだぞ」
そう言って突き出された盆には、汁物以外の、ラップをかけられた夕食が載っていた。
これを私に届けるため、眞人は不自由な体で這い上がってきたのだ。
そう思うと、込み上げる愛しさを抑えることは出来なかった。
私は眞人を抱き上げ、二階に駆け上がった。
開けっ放しの扉から自室に入り、背中で扉を閉める。
眞人をベッドに座らせ、その背中を壁に押し付けた。
「み、幹久…」
「眞人、眞人…」
戸惑いの浮かぶ目にキスをして、頰に、首筋に、胸にキスを落とした。
あれほど待ち焦がれた身体に触れている。
それだけで全身が熱くなり、呼吸は荒くなっていた。
「み…幹久、幹久…!やめてくれ…!」
服を脱がされかけ、眞人は慌てて抵抗した。
それでも私を押し返す手は弱々しくて、本気で嫌がっているとは思えない。
私は夢にまで見た震える身体にキスを落とし、眞人の味を確かめた。
「こんな…こんなことをしてはいけないんだ…幹久!」
「何でだよ…」
「目を覚ましてくれ…僕たちは兄弟なんだ!」
「そんなこと、知ってる」
「ーー…っ父親になるんだ!」
その時、眞人が叫んだ言葉に、思考が停止した。
ゆっくりと顔を上げると、目に涙を溜め、苦しそうに歪む顔があった。
眞人はぎゅっと唇を噛み、そして、開く。
「有紀子のお腹の中に…僕の子が居る」
「…嘘だ」
「本当だ。父さんも承諾してくれている」
信じられなかった。
眞人が、父親になる?
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