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異変
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息子の興味は、成長するにつれて、徐々に結威から離れていった。
妹が中学に入ってからは、今日告白されていただの、彼女が出来ただの、と逐一情報が入ってきて、
夕食の席でうんざりする、年相応の少年の表情も見せるようになった。
きっとあの出来事は、週末になれば毎週のように会いに来ていた、身近な可愛い子への興味と、好奇心ゆえの行為だったのだろう。
前のように執着しなくなったとはいえ、夏休みや長期連休には、必ず結威は実家に顔を出した。
その度に、二人一緒にいる現場をよく見かけたが、
一緒にゲームをしたり、遊びに行ったりと、ごく普通の従兄弟としての関係を、上手く保っているように見えた。
たまに、幹彦が小さな結威の体を背中から抱くように座ったり、恋人のように寄り添っているところを見て肝を冷やしたが、
兄弟のない結威は、ただ単に兄弟としてじゃれあっているだけのようだった。
幹彦が14歳、結威が16歳になった、その年の夏休み。
休みの前半を我が家で過ごすため、長期出張を控えた有紀子さんに連れられ、結威が泊まりに来ることになった。
その日は、三日後に公演を控え、通し練習をする稽古場には緊張した雰囲気が漂っていた。
しかし稽古が始まっても、幹彦は上の空だった。
演出家にも、近頃幹彦が稽古中に物思いに耽ることがあると報告を受けている。
多感な年頃だ。いろいろ思うことはあるだろうが、芝居に対して滅多に口答えをしない幹彦が、その日はやけに苛ついているようだった。
「幹彦、何か気になることがあるのか」
舞台上で、らしくないミスを繰り返す幹彦に、私はついに声を荒げた。
幹彦は滴る汗を拭い、黙ったまま、じろりと客席の私を睨むだけ。
こうなったら、気持ちが整うまで時間がかかるのは知っていた。
後も支えているため、仕方なく、頭を冷やせと幹彦を稽古部屋から放り出す。
幹彦が、肩を怒らせて部屋を出てから、
30分。
休憩時間に入った頃、私は様子を見に、自宅へ幹彦の姿を探しに行った。
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