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声
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結花は部活動に、柚子は友人との会食に出かけているため、家の中には使用人しか居なかった。
結威は、幹彦の部屋で稽古が終わるのを待っているという。
何時になく苛ついた幹彦。
何だか、嫌な予感がした。
足音を忍ばせて階段を上がり、幹彦の部屋に向かう。
ドアノブを押そうと、手を構えたその時、
扉の向こうから、小さな声が聞こえた。
息子の部屋の中から聞こえる、震えた涙声は、
確かに、結威のものだった。
やめて、お願い幹彦、
こんなこといけないのに、
痛い、痛いよ、
お願い、お願い、やめて…
容赦なくベッドが軋む音。
悲鳴のような泣き声の中に、時折混ざる切なげな言葉。
あの日、眞人を無理矢理抱いたあの暗い部屋がフラッシュバックし、
私は、立ち尽くすことしかできなかった。
私の息子が、眞人の息子を犯している。
切羽詰まった声からして、相思相愛で愛し合っているわけではないことは一目瞭然だった。
すぐに踏み込んで、息子を殴り飛ばすべきだ。
しかし、これは過去に罪を犯したお前への罰だと見せつけられているようで、
まるで見えない縄に束縛されているのように、私は愚かにも、行動を起こせなかった。
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