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アパートに帰ると、すぐにベッドに座り、携帯電話を開いた。
僕は、初めて彼との約束を破ろうとしている。約束を破れば、この関係は終わる。
これで、最後だからと、メールの送信ボタンの上に指をかざす。
その時、メールが届いた。緊張から、思わず携帯電話を落としてしまった。携帯電話を広い上げると、メールボックスを開いた。
メールの送り主は彼だった。
今日、彼が来る、来てくれる、涙が溢れた。まだ、会ってくれる。嬉しくて、涙が止まらなかった。
そして同時に、これが最後になるかもしれない、その予感もしていた。
急いで準備をし、玄関のドアの前で待っていた。インターフォンが鳴るよりも早く、彼の足音に気づき、ドアを開けた。
驚く彼に、笑顔を向けた。彼は、難しい顔をしていたけれど、怒ってはいなかった。
部屋に入り、鞄を置き、スーツを脱ぐ彼を見ながら、ベッドに座り服を脱ごうとしていた。彼の手を煩わさない為に、いつもそうする。
ボタンを外している手を掴まれた。顔を上げると、彼は首を振った。
「今日は、しない。」
「え?」
抱いてもらえないという事は、もう必要ないという事だろうか。
終わりにしたいと言う為に、彼は来たのだ。
彼は僕の横に座り、溜息を吐いた。もう、終わりなのだと目の前が真っ暗になる。覚悟していなかったわけではない。終わりが少しでも遠のく為に、見た目も変え、彼との約束を守り、彼を待ち続けた。
「カレンダーの赤い丸は?誕生日なのか?」
「え?あ、はい。」
彼は、棚の上にある卓上カレンダーを見ていた。誕生日というより、彼との記念日という意味の印だったのだけれど、それは言わなかった。
「もうすぐ誕生日なのか。じゃあ、その日は一緒に過ごすか。」
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