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僕は彼の勤める会社も、どんな仕事をしているかも知らない。だから何処で彼に会ったのかも全く見当が付かなかった。
「君は、女の子と歩いていた。女の子は酔っている様だった。君は女の子の肩をしっかりと抱いて、女の子も君の腰に腕を回していた。」
彼の表情が険しくなり、不安になる。
「暫くその場で君達を見ていた。いや、動けなかった。君は言わないだけで、俺の事が好きだと、俺の気持ちを受け入れ、許してくれると思っていた。馬鹿みたいだろう?俺は嫉妬したんだ、あの女に。許せなかった。君に裏切られたと思った。」
僕の手を握る彼の手の力が強くなる。
「あの、ち、違うんです。あの、」
合コンに参加した日の事だと気付いた。誤解だと分かって欲しかった。彼を裏切ってなどいない。許して欲しい。彼は首を振り、僕の言葉を遮った。
「いいんだ。言い訳なんてしなくていい。君は何も悪くない。謝るのは、俺だ。その翌日、俺は君に会いに行った。」
彼は嫉妬したのだと言っていた。そして、酷く抱かれた日の事を思い出した。
「あの夜、君の部屋に着くまで、君が普通の恋愛しようといているのなら、身を引くべきだと考えていた。終わりにするつもりだった。でも、君の顔を見たとたん、そんな考えは消えたよ。あの女を抱いて、俺にも抱かれるつもりなのかと、怒りと憎悪で君を殺してしまいそうだった。…愛していたから。」
彼の声は震えていた。彼を苦しめたのは、僕だ。
「そして、君をさらに傷付けた。あんな抱き方をして、心も体も傷付けた。すまなかった。」
彼の目に涙が滲んでいるのが分かる。その目は、後悔している、そう僕に訴えていた。
「君にもう会えないと思った。あんな事をして許されるわけがない、でも許してほしくて。君に会いたくて気がおかしくなりそうだった。だからこれで最後になるかもしれないと、何もかも片付けた後で君に連絡をした。そうしたら、インターフォンを押す前に君が飛び出て来て、思わず抱き締めたくなったよ。」
彼もこれで最後という思いで、僕に会いに来てくれていたのだと知る。始まりが不純だった。それは二人を苦しめた。
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